第21章私。ババ抜きします。
昼休み。
愛美と結衣はババ抜きをしていた。
そして結衣の手札はジョーカーを含む2枚、愛美の手札は一枚となっていた。
愛美は真剣な目で結衣の手札を見つめた。
そして、一枚を選んで抜き取った。
その一枚はジョーカーではなく、愛美が勝利した。
愛美はガッツポーズをして言った。
「やったー。勝った。最後は本当に緊張した。」
結衣は真剣な顔で言った。
「ねえ。愛美ちゃん。やっぱり2人でババ抜きはきつくない?」
愛美は答えた。
「結衣。2人だからこそ、これ程の緊張感が楽しめるんだよ。」
結衣は困った様子で言った。
「でもやっぱり3人以上でやった方が良くない?」
愛美は答えた。
「良いよ。なら誰か連れてきて。もし、誰も集らなかったら、二人でやろう」
(また、熱くなっちゃってるなー。こうなると、愛美ちゃんは手が付けられないし、なんとか誰か連れてこよう)
結衣はそう考えると、前の方の席で食事をしている派手な集団の中でも、一番目立っている女の子の声をかけた。
「玲。ババ抜きやるから来てー」
彼女の名前は深山玲。
思わず息をのむように整った美しい顔と、モデルのような体型、おしゃれなファッションでクラスの中心にいる女の子である。
玲は結衣を見ると不満げな表情で言った。
「結衣。なんで私があなたとババ抜きしなくちゃいけないのよ?」
すると結衣は悪い笑顔を浮かべて彼女のグループの他の女子に言った。
「ねえ。玲の彼氏の話聞きたくない?」
すると女子は言った。
「年の大分離れた彼氏の話でしょ。ちょー聞きたい。玲はあんまり話してくれないんだよね。そういえば二葉さんって玲と中学同じなんだっけ?」
すると玲は焦った様子で言った。
「結衣。私、今、無性にババ抜きがしたい気分だわ。行こうか。」
結衣はにやけながら言った。
「えー。でも玲は、ババ抜きしたくないんでしょー。それに私、彼氏の話をしないといけないし」
玲は焦って言った。
「結衣。私はね。ババ抜きが大好きなの。行くわよ」
そして玲は結衣を引っ張ると愛美の所までやって来た。
愛美は玲を見ると言った。
「深山さん?深山さんってババ抜き好きなの?なんだか意外」
すると玲は得意げに言った。
「まあね。私みたいな大人の女は普通ババ抜きなんかしないんだけど特別よ」
愛美は笑顔で答えた。
「わー。深山さんがどういうプレイングをするのか楽しみだなー。深山さんってたしか大分年の離れた彼氏がいるんだよね」
(ババ抜きにプレイングってあるのかな?)
結衣は愛美の発言を疑問に思ったがそれ以上に関心がある事があったためスルーして言った。
「玲の彼氏はゲーム画面の中だけどね」
玲はそれを聞いて驚いた表情を浮かべて言った。
「なんでばらすのよー。秘密にしてって言ったのにー」
すると結衣は言った。
「大丈夫だよ。愛美ちゃんは天然だから。」
愛美は結衣の言葉を聞き流し真剣な声で言った。
「気にしないで。私。そういう愛の形もありだと思う」
玲は必死に弁解して言った。
「聞いて。私の押しキャラは本当にかっこいいの。それに、画面とはいえ、私だけを愛してくれてるの。だからその。2次元だけど、3次元みたいなものというか。別に嘘をついていたわけじゃ」
(やっぱりこいつやばい奴だな)
結衣は玲の剣幕に少し引いた。
愛美は言った。
「話は分かったよ。でももう良いかな。昼休みも残り少ないし、早くババ抜きを再開したいんだけど」
玲は驚いた様子で言った。
「えっ?私の大スキャンダルが発覚したのよ。それを放っておいてババ抜きをやる気なの?」
愛美は笑顔で言った。
「うん。正直今はババ抜き以外どうでも良い」
結衣はそれを聞いて笑った。
「玲。気にしすぎだよ。いいじゃん。この際オタクキャラで行きなよ」
玲は苦笑いをして言った。
「嫌よ。ださいもの。他の人には絶対内緒にしなさいよ。後、元はといえばあんたのせいでしょ」
その言葉を聞きながら、愛美がトランプを配り始めた。
すると玲が言った。
「待ちなさい。イカサマがない様に私も一回きるわ」
「分かった。どうぞ。」
愛美は笑顔で玲にトランプを渡した。
結衣は、玲と愛美の様子を微笑ましく眺めていたのだった。




