第19章私。お茶します。
映画を見終わって二人はお茶をするために喫茶店に入った。
喫茶店に入り、お茶を飲みながら愛美が言った。
「2度目なのに泣いちゃった。結衣はどうだった?」
結衣は笑顔で答えた。
「良かったよ。でもちょっと悔しい」
愛美は不思議そうな顔を浮かべて言った。
「悔しいって。なんで?」
結衣は言った。
「結構ストレートな内容だったでしょ。私。こういうので感動するのはべた過ぎて嫌だな。と思ってたんだけど、実際見たら最後の方で泣いちゃったよ」
それを聞いて愛美は笑顔で言った。
「何それ。結衣って意外にひねくれてるよね。」
「そうかなー」
結衣はそう言って笑った。
そして結衣はふと横を見た。
すると委員長と隣のクラスの男がお茶をしていた。
愛美は結衣の様子には気付かず話を続けた。
「結衣は先輩が居るから違うかも知れないけど、私にとって恋愛って普段はそんなにリアリティーのあるテーマじゃないんだ。でもこういう映画を見るとちょっと考えちゃうや。ねえ結衣。もし好きな人にサッカーやめて欲しいって言われたらどうする?」
愛美はしんみりした様子で結衣に問いかけた。
しかし、結衣は話を聞いていなかった。
なぜなら、隣の委員長の会話に目を奪われていたからである。
愛美が話す少し前、男は委員長に言った。
「僕と付き合ってください」
すると委員長は少し考える様子を見せた。
そして言った。
「ごめんなさい。あなたは良い人だけど。友達としか思えないの」
結衣はその言葉に衝撃を受けた。
(えっ。休日に映画館に行って。キスして。友達なの?嘘でしょ)
「結衣。聞いてるの?」
話を聞いていないことに気付いた愛美が怒って結衣にそう言っても結衣は目を離さなかった。
男は告白を断られた事に驚き、バツが悪そうに下を向いた。
(そりゃそうだよ。あれだけ気を持たせておいて友達は無いでしょ)
しかし、男は決意を固め言った。
「今は友達でも構わない。でももしこれから、僕を男として見てくれる時が来たら。っその時は僕と付き合ってくれませんか」
委員長は言った。
「うん。お友達として仲良くするのなら喜んでお願い。でもこれからは2人きりはやめようね」
男はその言葉を聞いて再び深く落ち込んだ。
結衣はその様子を見て思った。
(女って怖い。)
そして愛美に問いかけた。
「ねえ。愛美ちゃん。男女でどこまでやったら、友達じゃなくて恋人?」
愛美は先ほどから結衣に無視されたため不機嫌になっており、少し怒った様子で言った。
「知らない」
すると結衣は真剣な顔をして言った。
「愛美ちゃん。大事なの。答えて。」
愛美はそう言われると真剣な顔で答えた。
「難しいけど。部活とか仕事以外で2人で会ったら付き合ってると思う」
それを聞くと結衣は笑顔を浮かべた。
「そうだよね。普通そうだよね。それで付き合ってないって変だよね」
すると愛美は少し悩んだ様子で言った。
「でも結衣みたいな例も有るからね。」
それを聞くと結衣は驚いて言った。
「確かに。つまり先輩は悪女って事か。」
愛美は戸惑って言った。
「悪女?結衣。何言ってるの?」
結衣は言った。
「日常は物語にあふれてるんだよ。」
そして結衣は不思議そうな表情を浮かべる愛美を見ながらコーヒーを飲み干したのだった。