第17章私。待ち合わせします
そして結衣と愛美は休日、映画を見るために映画館で待ち合わせをした。
結衣はが15分前に待ち合わせ場所に行くと、愛美は居なかった。
そこで結衣が愛美にラインで、「もう着いたよ」と連絡した。
すると愛美から「先に着いたから、パンフレット見てた。今行くね」という連絡が来た。
愛美が現れると結衣が言った。
「愛美ちゃん。早いね。どれくらい前から来てたの?」
「集合の1時間くらい前かな」
それを聞いて結衣は言った。
「愛美ちゃん。なんでそんな早く来てるの?」
すると愛美は得意げに持っている袋を見せた。
「見て。パンフレットとか映画のグッズとかを買い込んだんだ。私グッズ選ぶとか悩むタイプで待たせると悪いから早く来たの」
それを見て結衣は不思議そうに尋ねた。
「そういうのって普通見てから買うんじゃないの?」
「私。この映画2回目だから。」
結衣は驚いて言った。
「2回目?それなら他のでも良かったのに」
すると愛美は首を横に振った。
「この映画は面白いから2度目でも退屈しないと思う。それに、初めて2人で一緒に行くのに、見た映画がつまらなかったら嫌でしょ。だから絶対外れない映画を選んだの」
それを聞いて、結衣は愛美を抱きしめた。
「愛美ちゃん。なんていじらしい。そんな事気にしなくて良いのに」
それに対して愛美は戸惑ったように答えた。
「ちょっと。こんな所で抱きしめないでよ。他の人が不審に思うでしょ」
すると結衣は言った。
「見せ付けてやろうよ。」
「誰によ」
愛美がそう答えた瞬間、結衣の目には知っている顔が映った。
それは委員長と隣のクラスの男子だった。
そして2人は手をつないでいた。
(デートだ)
結衣は自分が見た光景に衝撃を受け、思わず腕に力がこもった。
愛美はそれにより結衣に力強く抱きしめられる事となった。
愛美は呼吸が困難となり必死に体をこわばらせて気道を確保しながら言った。
「結衣。痛い。本当に離して」
その言葉を聞くと我に返って言った。
「ごめん。愛美ちゃん」
すると愛美は怒った様子で言った。
「急に抱きしめておいて、他の所に気を取られるなんて。なに考えてるのよ。正直、抱きしめる力が強すぎて死を覚悟したよ。結衣は凄いフィジカルが強いんだから気をつけてよね。それで?何があったの?」
結衣は愛美に本当の事を言うべきか迷った。
しかし、委員長の交際が表になっていない以上、隠しているはずであり、それを無断でばらす事は避けるべきだと思った。
そこで言った。
「ごめん。先輩似の人を見かけてつい」
すると愛美は疑いの目で言った。
「どれくらい似てたの?」
結衣はごまかすために言った。
「もう兄弟くらい似てた。」
それを聞くと、愛美は結衣をじっと見つめた。
そして少し考える様子を見せた後に言った。
「ふーん。そうなんだ。まあいいや。そういう事にしといてあげる。次からは気をつけてよね。」
そして2人は映画館へ入っていったのだった。