第14章私。朝起こしに行きます。
ある朝、先輩の家のインターフォンがなった。
そして母親がそれに出ると、顔をにやけさせ、朝食を食べる先輩に声をかけた。
「あらー。いつの間に彼女が出来たの?彼女さんが朝、迎えに来てくれたわよ。」
先輩は朝食を食べながら言った。
「あいつ。ついに一線を越えたな。」
そして先輩は横に居る桐に声をかけた。
「桐。追い返してくれ。」
すると桐は言った。
「やだ。朝からあのテンションはきつい。」
「それもそうだな。」
そして先輩は着替えを済ませ、玄関から外に出た。
「おい。ストーカー。何しに来た?」
「先輩。先輩が朝寝坊しないように迎えに来ました。」
「お前。俺が毎朝ランニングした上で、1時間くらい早く行って、朝練やってることしてるだろ」
「勿論。ですから私も普通に登校するよりもずっと早く来ました。」
先輩はそれを聞くと呆れた顔で歩き出した。
「まあ良い。行くぞ」
「はい。」
結衣は上機嫌で先輩の横を歩き始めた。
先輩は歩きながら結衣に尋ねた。
「二葉。お前って頭良いのか?」
「どういう意味ですか?」
「成績だよ。学校の成績はどうなんだ」
すると結衣は渋い顔をした。
「良くないですね。このまま期末になったら赤点とか補習になりそうです」
それを聞いて先輩は言った。
「しょうがないな。俺が教えてやる。」
結衣はその言葉を聞いて目を輝かせた。
「本当ですか?それは私と2人きりになりたいという事ですね。」
それに対して先輩は言った。
「桐と一緒にな。あいつも受験だから勉強させなきゃいけないんだ」
すると結衣は呆れた様子で言った。
「先輩。彼女とのデートに妹連れてくる人が居ますか?さすがの私も引きますよ」
「勝手に妄想して。勝手に引くなよ。とにかく。今度うちで勉強会やるからな」
それを聞くと結衣は先輩の腕に抱きついた。
そして耳元で艶かしくつぶやいた
「じゃあそのお礼に私も、先輩に勉強教えてあげますよ。場所はそうですね。町外れのラブホテルとかどうですか?」
先輩は言った。
「おい。お前の顧問が見てるぞ」
それを聞いて結衣が笑った。
「先輩。そんな偶然あるわけないじゃないですか」
しかし、先輩は真顔のままだった。
結衣はおそるおそる後ろを見ると、後ろには顧問が居た。
結衣は言った。
「おはようございます」
顧問は言った。
「ああ。おはよう」
そして沈黙に耐えられなくなったのか結衣は走り出した。
「ああああー。もう無理―。」
顧問は先輩に言った。
「お前も朝から大変だな」
先輩はそれに対して答えた。
「先生こそ。苦労はお察しします。」
顧問は答えた。
「色々面倒な奴だが、まあ良いところは有るんだ。せめてもう少し慎みを持ってくれれば良いんだがな」