第13章私。PKやります。
放課後。
結衣と桐はグラウンドに居た。
「結衣―。監督の許可とって来たよ。30分なら使って良いって。」
「ありがとう。愛美ちゃん。」
「愛美さん。ありがとうございます」
愛美は2人を見て尋ねた。
「それで?2人は何するの?」
桐は答えた。
「PK対決です。私が勝ったら結衣にはお兄ちゃんのストーカーを卒業してもらいます。」
それに応じて結衣が言った。
「私が勝ったら桐ちゃんにはうちの高校に入ってもらうからね。」
すると愛美が結衣に言った。
「あの高身長でキーパーなんだよね。やっぱり上手いの?」
それに対して結衣が答えた。
「うん。うちに入ってくれそうなキーパーんの中じゃ群を抜いてると思う」
それを聞くと愛美は少し考える様子を見せた。
それを見て結衣が言った。
「愛美ちゃん。どうかした?」
愛美は結衣をじっと見た後、覚悟を決めたように言った。
「結衣。私に蹴らせて。」
結衣は少し驚いた様子で言った。
「分かってるの?負けたら私、ストーカー卒業しなきゃいけないんだよ」
愛美は真っ直ぐ結衣を見て言った。
「大丈夫」
それを聞くと結衣は笑みを浮かべた。
「愛美ちゃんはフォワードだもんね。良いよ。私の事は気にしないでやると良い。」
愛美は桐に言った。
「そういうわけだから私が蹴るね。良い?宮野さん。」
桐は結衣を見た。
結衣は桐に対して問題ないといった表情を見せた。
桐は言った。
「普段は協調性皆無だけど、こういう所はボランチだよね」
愛美はボールを置いてボールから右側に立った。
「左利きですか?」
「そうだよ。」
そして愛美は長く助走をつけた。
桐は多分、右下を狙ってくると予想を付けた。
そして愛美がボールに触れると、桐は左に飛んだ。
しかし、タイミングを少しずらされ、愛美がボールを蹴る瞬間には既に左に飛んでしまった。
そして愛美のシュートはど真ん中を打ち抜いた。
「愛美ちゃん。凄い。」
結衣は愛美の華麗なpKを見て、愛美に抱きついた。
桐は驚いた様子で言った。
「今。私のタイミングをずらしたんですか?」
愛美は平然と言った。
「そうだよ。私、PKは割りと得意なんだ。」
桐は更に愛美に問いかけた。
「つまり自信が有ったから結衣からPKを代わってもらったんですか?」
愛美は真っ直ぐに桐を見て答えた。
「違うよ。理由は上手く言えないけどどうしても私が蹴りたかったの」
それを聞くと桐は小声で結衣に言った。
「これは随分と尽くしがいのあるフォワードに出会ったね」
結衣もまた小声で答えた。
「でしょ。桐に見てもらいたかったんだ」
そして桐は愛美を見つめて言った。
「先輩。私、この高校に入ります。」
それを聞くと愛美は凄く喜んだ様子を見せ、桐に抱きついた。
「本当?嬉しい。」
桐は愛美を抱きしめ返して言った。
「愛美さんって小さいし何か可愛いですね」
それを聞くと愛美は真顔で答えた。
「やめて。私、先輩だよ」
桐はそれを聞いて苦笑した。
「意外と厳しいんですね。」
桐は結衣と異なり打算的な性格である。
いくらブラコンとはいえ、兄が居るという理由だけで高校を選ばない。
その桐がこの高校を選んだという事はこの高校の女子サッカー部が強くなると判断した事を意味していた。




