第12章私。先輩の妹と戦います。
ある日の放課後、先輩が自主練習をしていると、一人の女の子がよってきた。
その女の子は背が高く、モデルのような体型の美人だった。
女の子は先輩に声をかけた。
「まだ練習してたんだ。」
先輩は女の子を見て驚いた様子を見せた。
「お前どうしてここに?」
すると女の子は怒った表情を見せた。
「何?私が来たら何かまずい事でもあるの?」
先輩は少し困った様子で答えた。
「いや。別にそういうわけじゃないが。」
するとその様子を見た結衣が2人の所に走りこんできた。
「はい。そこまで。私の先輩に近すぎるよー。桐ちゃん。離れてー。」
彼女の名前は宮野桐。
少しブラコン気味の先輩の妹である。
近所の中学に通っている中学3年生だが兄に用事があり高校を尋ねて来ていた。
桐は結衣を見ると、先輩の腕に抱きつき、結衣を睨み付けた。
「出たわね。結衣。私が居ないのを良いことにお兄ちゃんを誑かそうとしてるんでしょ」
それを聞くと結衣は得意げに言った。
「残念でしたー。先輩は高校に入ってからもサッカー一筋で私には全く、なびきませーん」
桐は凄く嬉しそうな顔で先輩を見つめた。
「さすがお兄ちゃん。あいかわらずストイックだわ。」
結衣はその様な桐の様子を苦々しく見つめた。
「桐ちゃん。分かったら去りな。先輩の練習の邪魔だよ。」
桐は結衣を睨み付けた。
「去るのは。あなたよ。結衣。ユースに中学に高校に、何かにつけてお兄ちゃんについてきて。本当救いようのない変態ね」
結衣は更に怒りを募らせた結果、少し変な感じで言った。
「桐ちゃん。あなたは私の後輩よね。先輩には敬語を使いなさい。あと私は先輩のボール出しと片づけを手伝うという崇高な役割があるのです。去るのはあなたよ」
それを聞くと桐は不審なものを見る目で言った。
「結衣きもい。」
それを聞くと結衣は笑みを浮かべた。
「これは戦争だな。」
桐も笑みを浮かべた。
「ええ。受けてたつわ。」
すると虚ろな表情を浮かべた先輩が言った。
「お前達。俺はもう少し、フリーキックの練習がしたいんだ。頼む。静かにして何処かに行ってくれ」
先輩の切実な様子を見て2人は我に返り、肩を寄せ合って帰途についた。
「桐ちゃん。用事って何だったの?」
「お母さん達遅いから夕飯の相談。あとついでに、この高校の見学かな」
「この高校考えてるんだ。」
「まあね」