15分三題小説 「天国」「悩みの種」「禁じられた幼女」 「ジャンルなし」
普段はとても穏やかで悠久の安らぎの場所である天国が今現在、締め切り当日の作家並みに慌ただしかった。
なんと神は一日目にも人間を作っていたことが発覚したからだ。なにを作るよりもまずそれを作ったのだ。
その姿はとても愛らしく、見るものすべてを虜にする可愛らしい幼女だった。
天使達はなぜあの姿なのか尋ねた。神は、特に理由はない。と威厳ある態度と声で返す。ただのその背中には人知では計り知れない量の汗をかきながら。
世界ではすでに最初の人間はアダムとイブという事になっている。今更最初に作られたのが幼女だという啓示を行うべきなのか、天使達は悩んだ。
悩みの種である幼女といえば、何か言葉を発するわけでもなく、ただポツリと座って待つだけ。しかしその姿たるや愛と美の女神であるビーナスですら霞む程であった。
一人の天使がボソリと言う。
「あの存在を人間達に見せるのは、危険なのでは?特に日本とか」
場にいた天使全員がそれに頷く。その結果、幼女は禁じられた幼女として世界には啓示されず正に人知れず天国で幸せに暮らしましたとさ。