ギルドで目が覚めました
安心する匂いと、鼓動がします。
力強くも優しいこの手は誰だったでしょう?
夢うつつに身をゆだねて、心地好いひとときを堪能します。
『ヒロ?』
ああ、この優しい声は誰?
『ヒロ、起きたのか?』
う~ん、、、?
『お、父さん?』
『えっ?』
『お父さん、おはよう。』
『ひ、ヒロ?』
はあ、まだ眠い。
お父さんに抱かれて、安心して眠る。
この、夢見心地が堪らなく贅沢なんです。
頭をグリグリ擦りつけて甘えてみる。
あ、心臓の音が早くなったみたい。
ふふ、お父さん、照れているのかな?
もうちょっと、惰眠をむさぼらせてもらうからね。
『ヒロ?
眠っているのか?』
ん~ん、ヒロじゃなくって、、、、。
『私、チ、ヒロ、、、。』
『うん?
今、何ていった?』
『えっ?
何?
あれ、ギルマスさん???』
『ヒロ、今、何て言ったんだい?』
『えっと、うんと、、、忘れた?』
ギルマスさんの腕に抱かれて目が覚めたが、見てた夢は忘れてしまった。
幸せな気持ちだけが残っている。
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ヒロを抱きながら書類仕事をこなしていると、目が覚めかかっているのか、モゾモゾしだし、お父さん、と呟き始めた。
夢を見ているらしいのだが、夢の中では記憶喪失じゃないのか?
何度か声を掛けてみたが、やっぱり、お父さんと言ってる。
チ、ヒロ、と言ったようだったので聞き返すと、目覚めたようで、もう、夢の中の事は忘れてしまったようだった。
名前、チヒロなのだろうか?
俺をお父さんと間違えてグリグリしたり、頬擦りしたりして甘えていたのだろうか?
寝惚けて甘える子供はふんわりと、乳くさい匂いを醸し出し、全力で護ってやらなきゃいけないと言う想いを助長させる。
愛しい我が子。
お前が何者でも、護ってやるからな!