独りで眠れません
お腹一杯になった私は、イスに座ったまま眠くなりました。
上のまぶたが降りてきます。
ああ、眠い。
『お、眠くなったのか。
ほら、ベッドまで抱っこしてやる。』
歩ける、と言いたいところですが、眠くてしょうがないので大人しく抱っこされました。
ガッシリした体つきなので、安心出来ますね。
ほんのり、汗の臭いがしますが、嫌ではありません。
男らしい臭いで、私は好きですね。
広い家では無いようなので、直ぐベッドに着きました。
優しく布団に入れられました。
人肌の温もりが離れていくのがちょっと淋しいですね。
でも、赤ちゃんじゃないんですから、一緒に寝て、なんて事は言えませんし。
ーーーーあれ?
この家、寝室は他にあるんですかね?
私がベッドを占領してしまったら、ギルマスさんは何処に寝るんでしょう?
眠気も飛び、離れていくギルマスさんの腕をガシッと掴みました。
『うん?
淋しくて独りで眠れんのか?』
『ギルマスさんは何処に寝るのですか?』
『俺は何処でも寝れるから気にするな。
野宿とかで慣れてるからな。』
『さ、淋しいから一緒に寝てください!』
私は幼児。
ギルマスさんと寝ても問題無い筈!
恥ずかしいけど、一緒に寝てもらおう。
『眠るまで付いててやるからほら、寝ろ。』
『だ、駄目です。
ギルマスさんもお布団の中に入って下さい!』
うん、私は幼児。
そう、問題は無い筈なんです!
私はギルマスさんに両手を伸ばして甘えるポーズを決めた。
うう、恥ずかしい。
『ああ、分かった、分かった。
ほら、これで良いか?』
ギルマスさんはお布団の中に入って、私を軽く抱き締める。
うん、恥ずかしいけど、これでベッドを占領しなくて済んだね。
ポンポンって優しくあやされて今度こそ眠りについた。
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家の近くで倒れてた子供を拾った。
この顔と体格のせいで子供にはよく泣かれていたのだが、記憶喪失らしいこの子は何だかなついてくる。
一緒に寝てと言われた時には顔がデレデレしてしまい、困った。
まだ寝るような遅い時間じゃ無かったので子供が眠ったら俺は起き出したが。
以前飼ってた猫の名前を付けてしまったが、喜んでいたようだ。
まるで、猫のヒロの生れ変わりのような子供。
親が見つかっても帰したくないと思うのは駄目だろうか。