表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
廃墟の上に降り立つ太陽王<アポロ>  作者: 港 トキオ
第一巻 廃墟に降り立つ太陽王アポロ
8/302

第八章 飛陽族の少年

気を失ったのだろうか? 少しだけ、ふらついただけなのだろうか? とにかく今度は真っ暗闇。どういうことだ? 同じ部屋とは思えない。俺は三人の名前を呼ぶが反応はない。一応魔力感知をしてみるが、ジェーンがいる反応もない。


 ダークゾーンにひとりきり? 背筋に冷たい物が走る。もしここで機械でなくても、モンスターに出会ったら、ひとたまりもない。俺はとにかく、リュックの中のカンテラをだめもとで探そうとしていると、ある光に気が付いた。リュックの底から、それを拾い上げた。


緑色に発光している、旅立ちの日にレキトが渡してくれた、ドラゴンの瞳のような物。これも、アーティファクト、なのか? いや、アーティファクトだと何かの力があるはずだし、俺もそれを引き出せるはずなのだけれど……


まあいい、光るだけでも、十分。ありがとう、レキト。俺はそれを握りしめて力をこめると、なんと、ぼんやりとした光の線が暗闇の先に向かっている。これって、この光をたどれってことだよね! すごいぞ! 俺は小走りで、光の線が消えないうちに、暗闇の中を走って行った。


こだまするのは俺の足音だけ。他の皆はどこにいるんだろう。俺があんな赤白の宝石を、知らずに起動しちゃったからなあ。でも、もしかしたら、あれをしなくっちゃ、先に進めないのかもしれないしなあ。


うーん。相変わらず誰もいる様子がない。モンスターに会わないのは助かるけれど、みんなはどうしているんだろう。蓮さんやエドガーならダークゾーンでも平気だろうけど、ジェーンは大丈夫かなあ。まあ、高レベルすぎる先輩の心配をしている場合でもないのですが……


一向に、どこにもつかない。何も見えない。ずっと俺は小走りで、心なしかあの光も弱くなっているようなきがするし、同じような場所をただぐるぐるしているような気もしてきた。

 

 だめだ! 弱気になっちゃ! とにかく俺は走るしかない。 レキトのくれたあの石を強く握り、光の方へと走った。喉がかれ、さすがに休む暇はないのに、休憩を入れるか歩くか迷い始めた時、明るい光があった。出口だ!


 俺は急いでそこに入ると、荒い息をしながら、とりあえず呼吸を整え、水筒を取ろうとすると、手のひらで「パァン!」と小さく破裂する音がした。手を開くとあの石は、消し炭になっていた。


 運よくここにすべりこめた幸運と、俺に道を教えてくれたレキトに感謝をして、水にくちをつけた。はーおいしいなあ。体中にしみわたるよ。


そういえば、あの瞳のような石はアーティファクトではない。アーティファクトは滅多なことでは壊れないと聞く。でも、ここの遺跡でこんなに役に立つというか、この遺跡との相性の良さというのはどういうことだろう? うーん、ちょっと分からないなあ。


そして改めてこの場所を見る。前にあった、壁画が描かれている場所に似ているようだ。俺は改めて壁画に触れようとすると、


「アポロ」


「え? だ、だれ???」 この声は、知らない声、しかも、人間のものではない変な感じで、


「アポロ」


「だから誰だよ、って!!!」


 僕の足元にあったのは、き、機械? 僕の身長の半分くらいで、脚は無くて、少し浮いていて、頭には大きな赤い一つの目。


嘘、死ぬ! でも、この場所で逃げたところでどうにかなるのか? 俺の名前を呼んでるってことは、敵ではない? とにかく、戦って勝てる相手ではないだろうから、俺は質問をすることにした。


「こんにちは。俺の名前はアポロ。でも、太陽神アポロに憧れてつけた名前なんだ。だから、太陽神とは関係がないんだ」


「あります」


「え?」


「私たち古代人は死に行く代わりに、記憶や力の一部を機械の身体にたくしました。飛陽族の末裔。アポロ。私はあなたを最下層部に連れて行くのが、道案内が任務。それ以外の力はありません」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ