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廃墟の上に降り立つ太陽王<アポロ>  作者: 港 トキオ
第四巻 ジュエル・アンドロイドと憂いの戦乙女
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第十六話 穢れた騎士


 俺の言葉と同時に、桜吹雪を散らした蓮さんが軟体のような霊体のような、黒い影に切りかかる、しかし、そいつが蓮さんの全身を包み込み、蓮さんが苦しそうな声を上げるが、こんな状況だと下手に攻撃なんてできなくて、


「ゼロ! 蓮さんを助ける方法、何かある!!?」


「申し訳ありません。僕の攻撃だと必ず蓮にも大きな損傷を与えてしまいます」


 そうだよ、こういう時こそヴァルキリーのエリザベートは何をしてるんだよ!! 俺がそう叫ぼうとすると、僕の代わりに大声がした。邪気よりも、もっと黒い瘴気。輝く黄金の瞳。蓮さんを苦しめていた黒いモノは霧散して、蓮さんは足元に転がった丸い物体を踏み潰す。


 俺は一瞬びくり、としてしまったが、蓮さんの瞳はもう金色ではない。腕に内出血みたいなものを見て取ったので、俺はヒールをかけるが、やはり俺のヒールの力は弱いから、あまり効果が現れない。


「大丈夫だ。ありがとう、アポロ」


「いえ、ここでちゃんと回復しておいた方がいいかと。エリザベート。回復をお願いします」


 ゼロの進言。すると、二人の間に沈黙が訪れた。なん、なんだ? この空気、もうどうしたらいいんだよと思っていると、エドガーが大声で、


「お前らに事情があろうがなかろうが知ったこっちゃねえ、ただ、俺は生きてここから出たいんだ。エリザベート。蓮にヒールをかけてやれ」


 エリザベートは無言でその言葉に従うと、蓮さんの目の前に立つ。魔力を集中して、輝く暖かな光が蓮さんの全身を包む。さすが、といったところだろうか。俺もこれができたらなあ……。


「ありがとう」


「いえ」


 という必要最低限の会話が交わされ、エリザベートは先頭へと戻る。何があったんだよ、もう! と思ってしまうが、聞けない。聞かない方がいい。聞くのは失礼だ。って、分かってるんだけどね……


 とか思いつつ、この場の悪い状態はライジングブレスで防ぎ、俺とエリザベートは魔力感知、機械系の反応ならゼロ、敵が来ても強者ぞろい。ということで、割とサクサクと探索できている、のか? でもこのメンツが集まって進めなかったら、何なんだという話でもあるのだが……でも、エリザベートの持つコンパスは赤い光を発して先を示している。まだ、先があるのか。魔物の巣というからには、やはり深いんだなあ。


「おいおい、まだかよ。こりゃ戻るのも一苦労だな」と俺の言葉をエドガーが代弁してくれる。するとエリザベートが、


「いや、近いかもしれない。コンパスの中の赤い石の光が強まっている」


 そう言われて、俺も近寄り魔力感知をしてみるが、確かに、コンパスの石が、まるで魔石のような魔力を発している。近い、ってことでいいのかな? と、ふと俺が胸のブラッドストーンを取り出してみると、同じように赤い光を放っている。この宝石、あの祭壇でも反応したし、色んな場面で使えるのだろうか? とにかく今はこのコンパスの光があるのだから、それを頼ろう。この宝石は大切なものだし。


 また、少し広い場所に出た、と思うと、やっぱりと言うか、岩が紫の粘液でくっついている、ゴーレムのような物が三体地面から出現した。すかさずいかずちを浴びせるエリザベートと、剣から暴風を生み出し、敵を壁にぶつけるエドガー。それを見届けると素早く、花吹雪を散らしながら、敵を滅多切りにする蓮さん。


 あっという間に、敵を殲滅してしまった。また、俺の出る幕がないなあ、とゼロを見ながら思っている、と、叫ぶような声でエリザベートが「引け! 私に集まれ!!」という声がした。全員がその声に従う。エリザベートは防壁を張る。でも、俺は魔力感知をしても何も感じないし、ゼロも何も口にしない。本当に、何かあるのだろうか、そう、思うと、エリザベートのコンパスが破裂した。そして、俺らの目の前に、金髪で鎧を身に着けたとても美しい女性が現れた。その姿はまるで、エリザベートのような……


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