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廃墟の上に降り立つ太陽王<アポロ>  作者: 港 トキオ
第四巻 ジュエル・アンドロイドと憂いの戦乙女
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第十四章 樹木の盾 雷智神の盾


 すると、オパールに生命を感じる。薄緑色だった宝石が虹色に光り出し、そこから木々が勢いよく生え出す。まるで木々のカーテンのようなそれは、重力や落下から俺らを守ってくれる。そして、重圧がかなり緩和されたのか、木々がバリアを発生させたのか、身体がかなり楽になる。


「アホー! こんなことできるなら、さっさとしろー!」と元気そうなエドガーの声。


「ごめんなさい! でも、これもいつまでもつか分からないし、底がそこまでなのかも分からないし……」


「マスターアポロ、どうやら底はないようですよ」


ゼロの言葉に「何!?」と俺とエドガーが同時に言った。それにエリザベートが、


「彼の能力だかとは別だが、私もそう思う。今、この場が樹木で一時的にも浄化されて、気づいた。ここは、おそらく魔物の体内だ。徹底的に、壊すしかない」


 そう言うと、エリザベートは手に雷光を集め、壁? に放つ。何か、反応があった? と、とにかくそこには大穴が開いていて、俺らは急いでそこに逃げ込んだ。俺がその穴に飛び込むと同時に、穴は修復され、きれいにそこらの壁へと修復されていた。冗談キツイよ、ここ……。


「コンパスの光は生きている。どの位落ちているか分からないが、近道ができたと前向きに考えることにしよう」とエリザベート。う、すごい人だなこの人の前向きさと動じなさ。しかしそれにエドガーが、


「ちょい待ち、お前らを支えていた俺とアポロは結構消耗しているんだ。五分でいい。ここは変な罠もなさそうだし、休憩する」


 エリザベートは少し間を置いて「分かった」と言った。た、助かった……。急いでポーションを飲み干すが、やっぱり薬品よりも、休憩が一番だよなあ……と、思っていると、エリザベートが瞳を閉じて、片手を自分の顔の前に近づけ念じる。


そこから広がる温かな光。ここにいる全員にオールヒールをかけてくれたらしい。すごい、身体が一気にかなり軽くなる。身体の底からエネルギーがわくような。もしかしたら、水属性のヒールとは、力の与え方が違うのかな?


 僕はエリザベートに礼を言うが、エリザベートはパーティなので当然、といった様子。そして俺は蓮さんにお礼を言われる。いえいえ、お役に立ててよかったし、蓮さんのくれたウッディ・オパールのおかげです……って、そうだ! エリザベートは分からないし聞きにくいが、ゼロは何で気づいたんだ。それをゼロに聞いてみると、


「マスターアポロ。僕はアンドロイドなので、生体反応、機械、アーティファクト反応には敏感かと思います。ただ、マスターが得意な魔力感知の能力は、あまり高くないようです」


「あ、そうか。あの木々で一時的にでも場が浄化されたおかげで、あの底がモンスターの体内か何かだと気づけたんだ。やるなあ、ゼロ! これからも何かあれば自発的に発言してもいいからね!」すると、なぜだかゼロはじいと俺を見て、


「マスターアポロ。それは、難しいことです。そういったプログラムが見つかりません。また、僕の能力を知った誰かの指揮の元、動くことが効率的だと感じます」


「そう、か。難しいな。あ、でもいいよ。ちょっとずつ、勉強してこ。なんて俺も半人前なんだけどね。ははは」なんて笑う俺にエドガーが「先行くぞー」との声。そうだ、あまり長居するのもよくないもんな。というか、これ、帰るのも、大変そうだ……ああ、今は考えないようにしよう!


 俺達はまた歩き出す。今度の外観は土かレンガのようで、新しい層に入り込んだってことだろうか? 暗い道を戦闘のエリザベートが照らして、やっと俺は気づいた。しんがりにいる蓮さんの後ろの方を、俺はライトで照らすようにする。蓮さんがお礼を言ってくれる。うう、最初から気づくべきことだった……きちんとしなきゃな……


 と、いきなり上から雷鳴が轟き、え? エリザベートの?? いや、違う魔力反応だ。エリザベートは凛とした声で言う「天雷満ち 慈悲深き主神 我らの祈りをその両腕で抱かんことを 百万の盾!!」


 エリザベートの言葉に呼応して、巨大なドーム状の発光するバリアが俺達を包む。そしてそれが、どこかからか放たれた雷光を全て消し去っていく。エリザベートは両手を掲げて前を向きながら、大声で、


「動くなよ。灰になるぞ。この状況が続くようなら、リーダー、指示をしてくれ」


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