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廃墟の上に降り立つ太陽王<アポロ>  作者: 港 トキオ
第三巻 我がまま御曹司の帰郷。 サファイアドラゴンと銀龍聖騎士の試練
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第二十二章 空を翼に受けて

 すごい人達と旅してるんだなあ、と何度目かの物思いにふけっていると、ドラゴンの頭部のエドガーが、何故か俺の前に立った。う、すごい、迫力だな。三、四メートルの身長に、きらきらと光る銀色のウロコ。サファイアのような美しい青い瞳。そして、広がる、大きな青みがかった銀色の翼。それとは対照的に、少したどたどしく、


「お前、すぐにさ、自由に飛べるようになったんだろ? 一応、俺にも教えてみろよ」


 予想していない言葉だった。とは言っても、俺もなんかよくわかんないけど、すぐ飛べたわけで、何と説明をしていいのやら。俺が少し浮いて、風を感じて翼を動かして、とか適当なことを言うのだが、エドガーも飛べる、みたいだが、周りに砂埃が舞い、力強いがぎこちない。


 もしかしたら、俺の体重が軽くて、それに羽に浮力? みたいな力があるのかな。飛陽族とドラゴン、竜人とは飛び方が違うのだろう。でも、一応のアドバイスはできるような気がする。


「エドガー、あまり力任せに翼を動かさないで。同じリズムで。エドガー、銀龍はすごい力と浮力があると思うから、一度の羽ばたきを意識して、砂埃とかたてないで、静かにね。そう、身体の芯を意識して、そこがぶれないように」と、僕がそれっぽい感じの事をなんとなく言ってみると、さすがエドガー、みるみるうちに勝手に上達して、コツをつかみ、上空に飛び上がると、僕らのいない方向に、いきなりダイアモンドブレスを噴射した。初めてとは思えない、すごい威力だ! てか、出すなよ!


それからエドガーは自由に羽ばたくと、旋回し、飛行を自由に楽しんでいる。そして一通り楽しんだ後で下り、龍化も解く。そして俺の頭をくしゃくしゃに撫でて「ははは! いい感じだ。師匠がよかったせいかな。これで俺もようやく空を飛ぶことができるってわけだ!」


あ、俺は最初にエドガーに会った時、遺跡でしきりに飛べるアーティファクトを求めていたことを思い出した。そうだ。エドガーはずっと、銀龍騎士に、ミハエル一族と同じように空を、飛びたかったんだ。


俺はエドガーに頼んで、二人で軽く空を飛んでみた。なんだろ、この感覚。口元がゆるんでしまう。きっと、俺の一族はこうやって飛んでいたのかな、なんて。それに、単純に仲間と空を飛ぶって言うのも楽しいい!! え、わあっ! いきなり剣を振るうなよ!!


「お前が鷹の紋章を使いこなすのが難しいように、俺も空中であの大剣を扱うのは修行が必要だな。くそ、あのジジイは空なら神聖魔法を使えるからずりいよなあ。あと、ダイアモンドブレスって、あのジジイでも範囲はそこまで細かく指定出来ないらしい。クソー俺魔力ゼロだからなあ、空中戦用にボウガンや拳銃でもマスターしておくんだった!」


 いやあ、それを考えると、フォルセティさんが地上戦でも空中戦でもいかにすごいか分かるな……って!


「エドガー、クロスボウや弓矢はともかく、拳銃って、一応アーティファクト扱いではないけど、かなり高価だし、入手も限られるんじゃ? 弾だって高いって聞くし」


「うるせー細かいことはいいんだよ! アーティファクトのスゲー銃でも探せばいいだろ。弾は魔力を弾丸にする魔銃にして、お前が魔力を込めればいいだろ」


 それは、かなーりーのレアアイテムだと思うのですが……エドガーは満足したのか地上に下りて、俺もそれに続いた。


「エドガー、おめでとう」と蓮さんが言う。エドガーは無言で苦笑いをする。すると、大あくびをする人が、一人。


「あーもうやっと終わったよ!! 守護龍ってのも楽じゃないね。どっかのバカ息子が家出なんてするから。あー疲れたから家帰って休もう。はい、みんな一列に並んでー」とレヴィンが言うと、レヴィンは順々に、小さな宝石を配ってみせた。僕の所に来たのは、ルビー? 赤くきらきらと輝く宝石。模造宝石の輝きではない。小粒だけど、魔力さえありそうな魅惑的な輝きを放っている。


「え! いいのレヴィン! それに宝石をどこに隠し持ってたの!」


「お前達が入っていた袋だよ。他にも薬とかも入れてるし。それに、その位の宝石、家に山ほどあるから、気にするな、結構楽しかったぜ」そう言うとレヴィンは大きな欠伸をすると、瞬く間に巨大なサファイア・ドラゴンの姿になり、


「お前らと『冒険』するのもそれなりに暇つぶしになったわ。サンキュー。また何かあったら呼ぶわ」と、テレポーテーションをするかの如く、消えた。その背中にエドガーが大声で「てめえええ、これで終わりだろうがああ、二度と行かねえからなああ」と叫ぶが、聞こえてないだろう。でも、エドガーの試練とか色々手伝ってくれたんだから、また依頼を受けてもいいんじゃないかな、


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