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廃墟の上に降り立つ太陽王<アポロ>  作者: 港 トキオ
第三巻 我がまま御曹司の帰郷。 サファイアドラゴンと銀龍聖騎士の試練
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第十七章 魔法使いの夜

驚いて声が出なかった。瞬間移動したかのように、俺とジェーンの間にはレヴィンがいた。彼は人の姿。つまり、すでにこのお屋敷に戻っていたのか? えーい、考えてもわかんないや、俺はとりあえず、


「レヴィン、いきなりどうしたの?」


「いきなり? あのさ、エドガー送って来て、鉱山行ってみたけど、鉱山つまんないな。だから帰って来た」


 ん? 話が見えないが、馬車の移動で4日の鉱山に、エドガーと数時間で行ったのかな? ワープ? いや、ドラゴンだから飛んだってことかな? それと、エドガーは今も採掘を続けている、ということなのか? 


 俺はレヴィンに尋ねてみると「そうだよ」と気楽な返事。


「で、さあ、レヴィン、その鉱物? 鉱石? を見つけるにはどうすればいいの? 魔力を秘めた、普通のではなく、すごいサファイアなんだよね?」


「うん。そう。だから、魔力感知でも一応はできるかもしれないけれど、小さいのではなく大物を狙うなら、普通は錬金術師が専門の道具を持って調べるってよ。あとは、高位魔導士のカンディかな」


「カンディ?」


「普通は、行方不明者の迷宮内やら荒野やらでの位置を大まかに示す魔法。妨害魔力が働いていない場所なら使えるはず。そのサファイアには生命力反応もあるから、邪道だが使える。鉱山はさすがにそんな魔法の無力化なんてされてないから、安心して、な、上位の魔導士さん」


 レヴィンはそう言ってジェーンを見た。ジェーンは真顔で、


「だったらレヴィン、冒険者に依頼を出すには、それ相応の報酬というのもが必要なんだけど……」とジェーンが言い終わる前に、


「いいよ、ジェーンにも蓮にもアポロにも、宝石、小さいのでよかったらあげるから。それでいいだろ。出発は明日だなー」


 のん気に言うレヴィンに、驚いているのはジェーンもだけど、俺もだった。何で急に、レヴィンは俺らに面倒を押し付けて、それでいて、俺らを助けて、その上報酬までくれるんだ? 俺は思わず質問したのだが、


「おしえなーい、めんどいし。あー疲れた。寝よ寝よ」と歩き出す。僕はジェーンと顔を見合わす。深追いは、しない方がよさそうだ。俺らにとっては願ってもない条件だし、何より、忘れてしまいがちだが、相手はあのサファイア・ドラゴンなのだ。下手に機嫌を損ねるのは、良くない。


 俺は深くは考えないようにして、レヴィンの言うことを信じることにした。何度もエドガーや蓮さんと会っているんだし、わがままというかマイペースみたいだけど、悪い人(龍)ではないはずだし。でもジェーンはわざとらしいため息をつき、


「結局私がいないと、どうしようもないのよねえ……」


 俺は明るく「そうだよ、ジェーンがいなきゃ、パーティがしまらない。頼りにしてる」


 すると、ジェーンは俺をちらりと見てから、何故かまたわざとらしいため息をついて、


「これを言ったのが、背が高くてお金持ちでハンサムで頼りがいのある男前ならよかったのになあ、はあ。人生そう、上手くはいかないわね」


 俺の頬がかっと赤くなるのが分かる「ジェーンに合う男なんて地球上にいない!!」という言葉を飲み込んで、その後エドガーの顔が浮かんだけど、それこそ口に出したらえらいことになるので、俺はさっさと速足で館へと向かった。そして運よく入り口を見つけると、すんなりと、自分の客室に着くことができた。


 くそー! 俺は身長170㎝くらいあるからチビじゃないぞ! 馬鹿! 


 と、しばらくいらいらぐるぐる、考えが回っていたが、ふっと、そうだ、ジェーンに散々な結果を見せて、瞑想と呪文のイメージを思い浮かべて、呪文の準備をすることを今更思い出した。俺が飛陽族の力やアーティファクトの力を引き出すのが一番の攻撃方法だとしても、一応、俺も魔法使いなわけで、ちゃんと、力を制御して、「普通の」魔法を順々に使えるようになっていかなきゃな。


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