第十三章 思いがけない幕切れ
蓮さんは全身の所々から血を流し、一糸まとわぬ姿で、なぜか、無防備というか、わざとあの光に当たっていたかのようで、ぞっとした。しかも、あれを受けていて、まだ宙に浮いていられるとか、防御力も異常に上がっている? これが、修羅? 何なんだ、この二人!
「いいねえ。どんどんお前さんを殺したくなる。苦しみは自らに帰結する。もっと俺を苦しませろ。もっと俺を傷つけろ、俺の五臓六腑を抜き出し引きずり回せ、俺の首をはね、腕をちぎり、修羅の心臓を握りつぶせ!! 残酷な聖騎士殿!!」
と、そう言いながら、蓮さんがテレポーテーションのようにワープし、六本の裏・村正を、すっと、フォルセティさんの首元に触れさせる。そしてニヤリと笑い、いつもの優しく穏やかな声で。
「いい眼ですね。好きな、美しい眼だ。でも、まだまだ貴方からは死の匂いがしない。悪い人だ。悪い人。お久しぶりです、悪い人。もっと、死臭をさせて下さいよ。共に、三障へと堕ちましょうぞ」
するとフォルセティさんは無言で小さく十字を切る、と、霊のような、天使の形の物が数体蓮さんを取り囲み、美しい歌声を上げ、爆発する。蓮さんは小さなうめき声をあげ、金色の眼を光らせ、睨みつけながら口元は皮肉っぽく微笑み、
「もっとしてみろ。足りないぞ。煩悩障・業障・報障・俺を憎め、俺を殺したいと本気で思え、陰魔・死魔・天子魔・そうしたら、褒美に、お前を殺してやる! 俺の裏・村正が、貴殿の鼓動を味わいたいと暴れている。外法こそ真の悟り。まあ、せめて死と言う名の六欲天へと、送り届けてやろう。勇ましき勇士よ!」
六本の、裏・村正から、そして、蓮さんの身体から、魂が潰されそうな、恐ろしい、紫の気が……ここにいる、俺の、意識が、乱れる……倒れ、そう、だ……しかし、フォルセティさんの恐ろしい威厳のある声が響く!
「……これ以上私に命令するなら、ミハエル家への侮辱とみなす。さらばだ、おぞましくも美しきモノよ!」と、二人の周囲に天使のオーケストラが生まれ、光り輝きながらパイプオルガンの音色が辺りに響き、何かの讃美歌らしきものを歌って、魔力が、どんどんそこに集まっているのが分かる。魔法使いの俺には、この魔力量は、まずいのが、分かる。これは、本気でまずい。なのに、蓮さんは!! 動けないのか動きたくないのか!! 俺はもう必死で、大声で叫ぶ、
「蓮さん!!!! 二人とも!!! もうやめてください!!!!」
が、それよりももっと大きな声で、
「もういい加減にしなさい!!!!」




