表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
廃墟の上に降り立つ太陽王<アポロ>  作者: 港 トキオ
第三巻 我がまま御曹司の帰郷。 サファイアドラゴンと銀龍聖騎士の試練
37/302

第七章 小さな秘密

たまたま、と言うのだけれど、長い髪をまとめて、アップにしている。いつもの派手でセクシーな服ではなく、白と青の、小さなフリルのある清楚な服を着た彼女は、似合ってないわけではないが、普段の彼女を知っている人間には、かなりの違和感が……


「いいじゃないの、お見合いをした仲なんだから、そんな態度をとらなくても」とお母さん。


「えええ!!! お見合い!! エドガーとジェーンが!!」 


 蓮さんは黙って困ったような顔。エドガーとジェーンからは、殺意の視線が!!! 怖い! 本気で! 背筋に冷たいものが走る。身動きができない。あ、そういえば、お見合いをしたってことは、ジェーンも令嬢? みたいな人で、家を捨てて? 冒険者になったんだよね。普通、女の子を冒険者にしないもん。しかもお金持ちの家のお嬢さんが、死と隣り合わせのその日暮らしなんて。でも、普通に考えたら絶縁とか、ないか。なんか、複雑な事情がありそうだ。


 でも、エドガーのお母さんは軽く笑って、


「お見合いなんて、どこでも何度でもやっているものですから、僕、あまり気にすることではないのよ」


 そ、そうか、お金持ちの人たちは、お見合いなんて普通のことなのか。よくわからないし、何だかあの二人がぎくしゃくしている気がしないでもないけど……俺が余計なことをするのは控えるべきだ。自分の命の為にも!


「おーやっぱりおいしいな、おもてなしされてる気分になる」と空気をよまずに、女中さんにも色々持って来させて、飲んでは食べるレヴィン。さすが、巨大なドラゴン、いくらでも食べられるのか?


 でも、俺も席につくようにうながされ、白地に緑の縁取りのされた上品なカップで紅茶を飲んでみると、ものすごく美味しい!! 口の中、鼻の中に香りが広がり、喉元を通れば、果物を食べているかのような濃密さがある。透き通った果実の雫のようだ。正直、羨ましい……こんないい食事をとれるなんて! いや、そういうセコイ根性は止めよう。今はこの美味しいティータイムをありがたくいただこう。


「ロアーヌ様と少しお話があるから、男どもは、エドガーの部屋にでも行っててよ」とジェーンが少し困ったような不機嫌そうな口調で言う。ロアーヌ、エドガーのお母さんはニコニコしながら、


「だ、そうですから、男同士、気軽にしていなさい」


その言葉に従って、俺らはエドガーの部屋に向かおうとするのだが、レヴィンが蓮さんに、


「蓮、お前かなり強くなったな。腕にアーティファクト反応もある。模造刀で、演習でもしないか? 寝てばっかで身体がなまってしかたがないんだ」


「それは、面白そうだな。エドガー、演習場を借りるぞ、そういえば、お前と剣技の修行をしたのもそこだったよな」


 エドガーは投げやりな調子で「はいはい、お好きにどうぞ」と言いながら歩みを止めず、俺は二人の戦いが平穏無事に終わりますようにと思いながら、エドガーの後をついて行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ