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廃墟の上に降り立つ太陽王<アポロ>  作者: 港 トキオ
第三巻 我がまま御曹司の帰郷。 サファイアドラゴンと銀龍聖騎士の試練
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第六章 再会

 異様にうろたえ、喜ぶ男に、エドガーは冷静に、


「ルーシャ、悪いが、俺はこの家の守護龍の命令で、ここにいる。絶縁も解かれてはいないが、守護龍レヴィン様の頼みなら、断れないだろ。そういうことだ。心配をかけてすまないな。母様には俺から交渉する。どうせ周りの者にはすぐばれるだろうが、この話は内密にしてくれないか」


「も、もちろんです! 失礼しました!!」と男は恐縮して頭を深々と下げた。それから颯爽と、エドガーは進んで行く。そうなんだよなあ、いつものエドガーではなくて、本来はお坊ちゃま、御曹司なんだよなあ……今の言葉遣い一つとっても、あの歌をうたうエドガーの様に、気品のある甘い感じがした。


 俺達はエドガーについて行って、歩いて行くと、ひときわ大きな邸宅があり、その近くには二人の守衛がいて、俺達に強気な声をかけてきたのだが、エドガーが


「お久しぶりです。エドガーと申します」

 すると、守衛は慌てて頭を下げる。そして、悠然と進んで行くと呼び鈴も鳴らさず、大きな扉を開いた。そこには、大きな龍の、百合で飾られたレヴィンの紋章があった。


 中には大きな階段とシャンデリア、骨董品らしき壺、床には瑠璃色のじゅうたん。エドガーは迷いもなく扉を進んで進んで行くと、廊下で天女のような女性に出会った。誇張ではない。その女性は薄絹のショールとローブを身にまとい、そしてその背からは、「あの里の者」なんかではない、物語の天使の様に、柔らかな光が差していたのだ。


 長い黒髪と白すぎる肌。とてもエドガーのお母さんの年齢には見えない。優しい雰囲気の人。こんな雰囲気の人、シェブーストとかでも見たことがない。そもそも人、なのかな?


「あら、エドガー、どうかしたの?」


「母様。レヴィン様がサファイア・メダイとガレットがどうしても欲しいとのことで、恥を忍んで、敷居を跨いだ次第です。厚かましいのは承知ですが、その2つをいただけないでしょうか?」


 すると、その女性、きっとエドガーのお母さんは、柔らかい声で、


「あら、十年ぶり? に帰って来たと思ったら、そんなわざとらしい言葉使いをして。ふふ。ガレットは焼いてあげられますけれど、サファイア・メダイは、お父様に頼まなければならないの。私がうまくいくようにしますから、気を楽にして、お茶でも飲んでいなさい」


 息子が十年ぶりに帰って来たのに、この明るい朗らかな態度。すごいな……この人も。 

そうしてドラゴン……レヴィン。そうだ、あのポータルに書かれていた名前。彼に深々と頭を下げ、


「レヴィン様、わざわざこの狭い家へご足労、胸が痛みます。何もない場所ですが、少しでも気晴らしになれば、幸いです」


「おう、人間のまともな食べ物食べるの久しぶりだから期待してる」とあくまで態度を崩さず、


「蓮、久しぶりですね。ますます男前っぷりがあがって、思えば貴方とエドガーの縁も長く、奇妙なものよね。あら、いけない、お茶も淹れたばかりで、スコーンもあるの、早くこちらにいらして」


 な、なんだろう、名家で、エドガーのお母さんというとなんか堅いイメージがあったが、ほんわかした人だなあ。蓮さんに小声でそのことを言うと、蓮さんはニヤリと笑い「でも、実はな、怒ると本当に怖いんだぞ」と言った……それ、あなたもですよ……


 その扉を開く、と、お茶中らしき、紫色の艶やかな髪をした、清楚な服を着た胸のデカい……


「ジェーン!!!!」


「な、なんであんた達が揃いもそろってここにいるのよ!!!!!」


「こっちにも理由があるんだよ!!」とエドガーが静かに不機嫌に言う。

するとジェーンは「こっちには理由なんてたいしてなくて、たまたまよ!」


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