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廃墟の上に降り立つ太陽王<アポロ>  作者: 港 トキオ
第三巻 我がまま御曹司の帰郷。 サファイアドラゴンと銀龍聖騎士の試練
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第四章 傲岸なサファイアドラゴンの難題

くうう……言ってることは間違ってないけど! 俺達三人はポータルの中に立ち、「行きますよ!」と俺が声を出して、念じると、全く違う景色、そして足元にはポータル! やった! 成功した! 魔力が上がったおかげかな?


 そういえば、黒リンゴの森と言われていたように、周囲の木々には、珍しい、というか、始めて見た、真っ黒いりんごがたわわになっている。


「ねえ、これって食べられるのかな?」と俺が飛び上がり、一つもいでみる。香りは同じで結構いい香りだ。


「嘔吐や下痢をする。味も美味しくないらしい。呪術や魔物の食料らしい」


 あ、そうですか……と俺ががっかりしていると、エドガーのコンパスが一点を指している。そこは、黒リンゴの大樹。でも、入口は、ない? しかしエドガーはちゅうちょせずに、その中に入って行く、蓮さんも、それに続くから、俺だって続くしかない。大丈夫だと分かっていても、木に激突するのは抵抗があるが、あったのは広々とした、周囲には明りのある階段だった。


 それを無言で歩いて行くエドガー。戸惑い、周囲を見回しながら歩く俺に、蓮さんが、


「ここがサファイア・ドラゴンの住処への最短ルートなんだ。本当に遺跡から彼に会おうとすると、罠や恐ろしい敵がてんこもりの場所を通らねばならないらしい」


「らしい? エドガーもその遺跡を知らないんですか? 最初からこのルートを知ってた?」


「ちげーよ、俺は俺一人でその遺跡を突破して、サファイア・ドラゴンに会った。俺のな、家の紋章にもなっている、守護龍、それがこの、サファイア・ドラゴン様なんだよ!」


 何歳かは分からないが、一人でその遺跡を突破したってのもすごい……それに、守護龍なのに、なんでこんなに面倒くさそうにしているんだ? 家を出たことと関係があるのかな? 


 しばらく歩いていると、扉があり、それをエドガーが開けると、とても大きな、貴族の大広間(実際見たことないけど)みたいな場所に出た。だって、上にはシャンデリア、壁には絵画、机には美味しそうなフルーツ、そして、奥の玉座には、輝かしい存在がいた。


 青というよりも虹色のウロコ、金色の瞳。広げてないが、背中には大きな翼があるらしい。美しい。他のドラゴンを実際見たことがないが、彼の美しさは別格ではないだろうか。高さは十メートルといったところか。でも、ドラゴンは自由に身長や姿を変えられるという。その彼の第一声は、


「よう、久しぶりだな、愚民の諸君」

 な、なんだ、この美しさと、アホな不良みたいな言葉つかいのギャップは……エドガーは慣れているのか、冷静に返す。


「今日はどこに行きたい? 何が欲しい? もうこれで終いだ。もう俺は十分借りを返した。これ以上要求するなら、相手になる。蓮も、このアーティファクト使いもいるからな。竜が最強だなんて、勘違いするなよ」


「おいおい、そんなケンカ腰は止めろよ。俺はただ、仲良しのエドガー君に頼みごとがあるだけなんだから」


「だから、それはなんだよ、早く言えよ」


「お前の家で作っている、サファイア・メダイと後ガレットも食べたいな。言っておくが、勘当されたお前への当てこすりじゃないぞ。こんなこと頼めるのお前しかいないだろ」


「俺が、勘当されていたとしても?」エドガーは押し殺した声で言った。すると蓮さんが、


「分かった。僕も彼の家には面識がある。ガレットはともかく、サファイア・メダイを譲ってくれるかは分からないが、交渉する。その代わり、今回の件でエドガーへの貸しはチャラだ。こういう強制的な依頼も。それでいいか?」


 すると、サファイア・ドラゴンは、顔をひきつらせながら無理やり笑顔を作り、


「お前さ、人間のくせに人間じゃないもんな。ここにいる三人ともそうだけど。そりゃあ言葉にも自信あるよな。お前の汚れきった刀、お前自身の心を写してるぜ。その、修羅ってもんがどの位か、試してみようか?」


「お前が僕を殺したいなら、こちらも望むところだ」え! 蓮さん! そんな安い挑発に乗って! 


 と、エドガーが大声で言う。


「分かった! どっちももらって来る。それでいいだろ? 行こうぜ、蓮! アポロ!」


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