表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
廃墟の上に降り立つ太陽王<アポロ>  作者: 港 トキオ
第八巻 声無しの桂冠詩人と賛美の名を持つ堕天使
213/302

第二十七章 巨大ゴーレム

「離れろ!」


 大声で蓮さんが叫んでいた。俺は反射的にその言葉に従いながら、光の盾を生み出す。眼の前にあった祭壇らしきものからは、巨大なつたやつるが絡み合った、巨人の上半身が出現していた。


 苔色と灰色が混じった、植物のような亡霊のような、奇妙な見た目のゴーレム。物理攻撃が効くのか、はたまた、その姿は幻影なのか。


 気づくと蓮さんはその怪物に飛び掛かっており、大きく飛翔すると一閃、その大きな左腕を切り落とし、泣き別れた腕はとたんに塵になって消える。その蓮さんをもう一方の腕が掴もうとするが、即座に跳躍して退避し、間合いを取る。


 さ、さすが蓮さん……と俺が感心していると、地面が大きく揺れた。そうか! ここに来た時と同じく、あの怪物が地震を引き起こしているのか。怪物の瞳のない顔から大きな穴が開き、そこから醜いうめき声が漏れ、大地を震わす。


 でも、変だ。あの時は身動きが取れない程だったのに、今はそうでもないぞ。腕が半分ない位で、ここまで威力が落ちるとは考えにくいが……まあ、今はそんなことはいい!


「アポロ! 周りから、植物が!!」

 

 スクルドがそう声を上げた。まるで俺達を包囲するかのように、地面から太い蔦状の、触手のような物が幾つも生えてくる。俺はスクルドの肩を引き寄せ、大きな声で言う。


「炎の力を使う。動かないで!」


「はい!」


 魔力を右手に集中させる。それに鷹の紋章の力を意識し、左手を重ね、強く、念じる。周囲を一瞥する。触手はぐねぐねと揺れてはいるが、まだ攻撃をしてくる様子はないようだ。ならば先手必勝だ!


 俺は重ねた両手を高く掲げると、熱風で辺りを焼き払う。植物だからか、触手は簡単に塵となって消える。


 って、今更だけど、炎の力が戻って来た……? ここの地方に来て、制限がかかってたような感じだったはず。炎の力が戻って来たの、気のせいかもしれないが……


「アポロ……すごい……」とスクルドの声。いやあ、それほどでも……って、違った。蓮さんが、飛んでいた。飛んでいたというか、敵の攻撃を避けながら、豪華なホテルの屋根の上を自由に行き来するかのように跳躍。


 ゴーレムは残った腕を回したり、身体の穴から灰緑の毒霧のような物を吐くも、蓮さんにはそれらを軽やかにかわす。あれ、ここまでの身体能力って、もしかして、修羅の力を一部開放している……


 そんな思いがよぎるが、蓮さんが敵への頭部への一撃をきめると、怪物は地面をゆるがすうめき声をあげた。やったか?


 そう思ったが早いが、ゴーレムの身体は巨大で真っ赤なスライム状に変化していた。血の色をした、ブラッド・スライム? でもこんなに巨大なのっているのか? というか、まずい、鳳凰の力もアーティファクトでの補助手段をも失った蓮さんが、軟体系に太刀打ちできるのか?

「蓮さん! こちらに来て下さい! 俺がなんとかします!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ