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廃墟の上に降り立つ太陽王<アポロ>  作者: 港 トキオ
第七巻 空中都市のアカデミーと運命の三姉妹
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第四十四章 どこへ?

「プロジェクト・ゼウスについてはこちらでも調べていきます……アポロはこれから、今以上に様々な人に出会い、様々な困難にぶつかることでしょう。貴方の仲間と、アーティファクト、そしてアポロの意志に祝福を」


 ルディさんはそう言うといつもの笑みを浮かべた。俺はお礼を言って、二人でゆっくりとこの場を後にする。


 そうなんだよな……様々なアーティファクト、俺の力<調律>と<同期>、プロジェクト・ゼウス、そしてあの天人……問題は山積みというか、アカデミーに来て分かったことがあるけれど、それ以上に分からないことも増えてきた。一筋縄ではいかないけれど、焦って解決することでもないもんな。

 

 ルディさんと別れた俺は、ぼんやりとベンチに座って、そんなことを考えていた。とにかく、俺が新しいアーティファクトの力を得て、パワーアップしたというのは間違いない。そうだ、太陽の外套は試してみたいな。


 なんて思って、広そうな場所というか、深く考えずにトカシアの工房へと向かう。すると、ばったりとマルケスに出会った。彼の手には俺のハープ。俺は気軽に、彼に何か分かったかとたずねた。すると、マルケスは固い顔をして、俺にハープを押し付けた。


「分からない。正確に言えば、これが楽器ということしか分からない。バード、吟遊詩人が使用する楽器として、特筆すべき『なにか』を見つけることができなかった。僕の、負けだ」


 俺は押し付けられたハープを受け取る。それにしても負けだなんて……優秀なマルケスには悔しいのかもしれないけれど、何でもかんでも分かるって言うのはないだろうし。


「まあまあ、俺さ、さっき新しいアーティファクトをもらって、それを使ってみたいんだ。だからさ、まだこのハープを調べていてもいいよ」


 俺はそう言ってマルケスを慰めるのだけれど、彼の表情はやはり硬いまま。


「駄目だ。だって、アポロはもうすぐアカデミーを出る」


「え!」


 思わず俺は大きな声をあげてしまった。どういうこと? マルケスは何を知ってるんだ? 俺がマルケスに詰め寄ると、なぜか彼はつまらなそうに言った。


「このアカデミーが移動しているのは知っているだろ。セレニア大陸が近いんだ」


「え? その、セレニア大陸でまたこのアカデミーが停泊? ええと、一時的にとどまるってこと?」


「とどまるというか、君らだけポータルでアカデミーから大陸へと移動する」


「だから何で?」


「僕も詳しくは知らない。ただ、スクルドがそう言うんだ」


「え、またお告げ……預言を受けたってこと?」


 マルケスはため息をついて「そういうことだろう」と力なく言った。それにしても急展開だな……あ! もしかして、スクルドが俺達と同行するって決まった時から、どこかに行くは分かっていたってことだよな。だって、目的地、目的があるって彼女は言ってたし。


 とにかく、スクルドに会わなくっちゃ。それと、蓮さんはこのことを知ってるのかな。アカデミーに来てから、何故か蓮さんと会わないんだよな。何してるんだろ。


 俺が色々考えていると、マルケスが無言でどこかへ向かっていた。なんか、マルケスの様子もおかしいな……あーでも、今はスクルドか蓮さんに会うことを優先したい。でも、二人はどこにいるんだろう?


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