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廃墟の上に降り立つ太陽王<アポロ>  作者: 港 トキオ
第七巻 空中都市のアカデミーと運命の三姉妹
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第六章 アカデミーの学長

 そんなこんなで待っていると、俺達の順番が来た。さっきの白ローブの人とエドガー何やら交渉をして、俺達は円形のサークルの中に入った、


 と思ったら次の瞬間には別の場所にいた。


 感じる、強大な、何か。魔力反応? アーティファクト反応? 分からない……というか、それに意識を合わせると気を失ってしまいそうなほどの大きな力。初めて訪れた遺跡よりも大きな力を持った場所なのか、それとも俺が力に目覚めたからこそ、この場所の凄さに気づいたのだろうか。


 エドガーに小突かれて、彼の後を追う。見た目だけならシェブーストの高級住宅街のような雰囲気のする街並み。しかし異なるのは、家の形が見慣れたレンガ造りであったり、全く見慣れない真っ白い金属?みたいな外観の、大きな球体の建物であったり……


 そしてそこにいる人達は、さっきの人みたいな白いローブに青いリボンをしているひともいれば、何かの制服姿の人もいる。きっと彼らがここで生活しているひとなのだろう。


 その中で俺達冒険者の姿は異様に見えた。お金持ちの社交界(行ったことないけど)に兵士が迷い込んだみたいな……


 あ、でもあそこにいる人は踊り子みたいな恰好をしている。褐色の肌に真っ黒で艶やかな髪。青い透き通る瞳が美しい。それに、その、とてもグラマラスな身体に、肌の露出が多い、青いビキニドレスに銀の飾りがついたなんともセクシーなもので……ちょっと見たいけど、直視しにくいぞ!


 って、え? 彼女が微笑を浮かべながらこちらへ寄ってくる……? そして彼女は長い黒髪を少しかきあげ優しい声で、


「エドガー。久しぶりね」


 え、二人は知り合いなのか? 俺二人の顔を見比べる。そして独特の、入り込めない空気ができていることに気づいた。エドガーはバックパックの奥から大きな青い宝石を取り出し、彼女の手に握らせる。


「サファイアのブルーを見る度に、ルディの瞳を思い出すんだ。本当は人魚の涙でもプレゼントしたかったんだけど、これでも満足してくれるか?」


「勿論。ありがとう。今日は久しぶりにエドガーの歌声を聞かせてくれるのよね。楽しみだわ」


 エドガーは微かに微笑み、悪戯っぽく「どうだか」と口にした。ええと……この二人、何だかとてもいい雰囲気じゃないですか? この方がエドガーの知り合いだよな?


 彼女は大きな胸元に、輝くサファイアのネックレスをつけると、こちらにも笑みを投げかけた。


「蓮、私のこと覚えているかしら……また会えると思わなかったから嬉しいわ」


蓮さんはそれに「ああ」と静かに応えた。この二人も過去に何かあったのか……? そして彼女は俺の顔をじっと見る。美しい、吸い込まれそうなブルーの瞳。


「そしてそちらの彼は……事情がありそうね。ごめんなさい、挨拶が遅れました。アカデミーの学長を勤めています、ヴェルザンディと申します。親しい人にはルディと呼ばれています。どうぞよろしく」


 あ、アカデミーの学長! なのに、その、洋服がとてもセクシー過ぎないか? だって、他のアカデミーの人達は何だかとてもそれっぽいというか、ローブや制服を身に着けているのだから……


 そんな俺の疑問に気付いたのか、ルディさんは色っぽい視線を投げかけて、身体を少しひねる。ひらひらした衣装が揺れ、俺は思わず目を逸らしてしまう。


「この服は式典用の正装なの。式典はもう終わってしまったけれど、久しぶりの衣装を脱ぐのも惜しくって。これはシャーマン、預言者としての服だから刺激が強かったかしら?」


「いや、最高に似合ってるぜ」とエドガー。それにルディさんは「相変わらず口がうまいのね」とさらりと返すが、エドガーも「本当のことを言って何が悪い」と引くことがない。そのやりとりに思わずぼーっとしてしまっていると、彼女は俺らに優しく語り掛ける、


「貴方たちが来るって事はそれ相応の理由があると思うの。私の部屋に案内するからそこでゆっくり話を聞かせて」


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