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廃墟の上に降り立つ太陽王<アポロ>  作者: 港 トキオ
第二巻 機械仕掛けの天使と 永久の別れ
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第一章 機械仕掛けの天使 永久の別れ

あー早くベッドに入りたい!!

 あーなんていい気分なんだろう。マシュマロの雲の上で天使のコーラスを聞いて、天使の、天使の…


「てめええええいいご身分だなあ!! 俺も蓮も起きてるってのによお! もう昼間だぜ!! さっさと準備しろ! 五秒だ! いーち、にーい」


「は! へ? ちょっと待って、あれ? ここってエリッタサイドホテルだよね? それで俺はシャワーをなんとか浴びたら寝て、それで」


エドガーは大声をあげて「俺は短気なんだよ!! チェックアウトして置いて行くぞ!」


「はい! エドガー様! すぐによういしますでございます!」と言いながら俺は慌てて自分の準備をすませる、とはいってもエドガーに買ってもらった鎧以外は、大したものはないんだけどね、リュックにあるのを持つだけだ、ふう。

 

そうして短気なエドガー様とホテルのロビーに行くと、蓮さんがいた。蓮さんは笑顔で「よっぽど疲れていたんだな。エドガーがすぐに一度ギルドに行きたいと言うからな、僕ももうすこしゆったりしたいものだけどな」「いえ! 俺が最後まで寝てしまって。すみません」と俺は頭を下げる。


「そう硬くなるな、僕もエドガーも、長く寝るのが苦手なんだ」


そうさらりと口にするのは、やはり、歴戦の冒険者の証だなあと改めて尊敬する。いつでもどこでも寝られるように、短時間でも体力を回復できるように。寝ている最中でも、敵の気配に気づく様に。


蓮さんはそうだとして、あの悪名高い、いや、実際は王様体質なだけだったけど、エドガーだって尊敬、とは違っても、やっぱりすごい人だ。


このエリッタサイドホテルでも、明らかに、エドガーや蓮さんをちらちら見て、ひそひそ話をしているひとがいる。そこそこ値段が張るはずの、清潔感のあるホテル。象牙色とモスグリーンで統一された室内は落ち着いた雰囲気があり、ロビーでは大きなソファにこしかけ談笑する人の姿が見られる。そして、感じる視線。


そりゃあ、大陸一? というレベルの冒険者とその師匠がいるのだから、気になって当然だなあ、とぼんやりしていると、蓮さんに近づいてくる人がいた。その人は冒険者らしく、少しためらいがちに言った。


「あんた、えと、鳳来蓮さん。あんたも、エドガーと、滅びの天使のクエストに行くんですか?」


「滅びの天使!?」と声を上げたのは、俺の方だった。蓮さんは黙って軽くうなずいてみせる。


 すると彼は話を俺らに続けてくれて、


「何でも、この隣の大陸、エンゲージ大陸には天使の里、と呼ばれる場所があり、一般人には入れない、人が天使になる場所らしい。そこの大富豪が、自分の娘のために貴重な宝石を賭けた、クエストをこちらの大陸にも依頼したらしい」


 そこで、彼は一度話を切り、少し熱っぽく語り出す。


「おかしくないか? わざわざ別の大陸に依頼を出すにしても、依頼主は天使の里だぞ。普通なら冒険者の一人も入れない場所だと聞く。おまけにこの高価な宝石だ。どんな依頼が待っているのか、もしかしたら里の近くで選別があるのか、よほど腕に自信があるか物好きしかやらないだろう」


「おー、それって俺の事だろ。最高に強くて自信満々だからな」


 エドガーが急に割り込んで、男に告げたので、彼は固まってしまった。エドガーは蓮さんと俺に向けて言った。


「こいつの話は大体あってる。まあ、リスクや無駄足の可能性もあるが、報酬の宝石がな、どうやら人魚の涙らしいんだ」


「人魚の涙?」と俺。すると、蓮さんが説明してくれる。


「アーティファクトだと言われているが、一般の人にも扱える。とても美しい深い青の宝石らしい。身に着けると、いつまでも水中で息ができるとか。古代魔術師や人魚たちが本来の力を引き出すと、何かが起きる、らしいが、エドガーはどうしたんだ? こんなロマンティックな物を欲しがるなんて」


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