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廃墟の上に降り立つ太陽王<アポロ>  作者: 港 トキオ
第七巻 空中都市のアカデミーと運命の三姉妹
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第四章 空中都市への道

俺は頷く。この位なら、簡単じゃないか? 蓮さんが音もたてずに紙吹雪を作り出す。俺はそれに向けて鷹の紋章の疾風を叩きこむ。


 のだけれども、なぜかそれは届かず、葉っぱで出来た紙吹雪はゆっくりと地面に落ちて行った。


「え? そんな! 確かに今、蓮さんの方に向けて強い風が吹いたと思うんですけれど……」


「すまない。説明が足りなかった。僕がこの刀を風車のように回し、簡易的な防壁を作った。それを乗り越えて、落ちる葉っぱを吹き飛ばして欲しいんだ」


 蓮さんの刀裁きを乗り越える??? しかも刀の動きなんて全く見えなかったぞ……出来るだろうか? いや、これはただの練習だ。気を楽にしよう。俺は黙って大きく頷くと、蓮さんは再び葉っぱの吹雪を散らす。


 よし、こっちだって遠慮はなしだ! 鷹の紋章に力を込め、一気に暴風を叩きこんだ。


 と、その大きな力に自分自身が耐えられず、思わずしりもちをついてしまう。暴走して放った力も、大空へと吸い込まれていった。情けない……。


「まだやるか?」と蓮さん。このままでは終われないけれど、どうすれば……そうだ!


 再び舞う葉っぱの紙吹雪。それを守る蓮さんの堅牢な防御の壁。それをすり抜けるのは、普通のやり方だとだめだ。俺はキャッツアイにジェーンに教えてもらった水の魔力を集中させると、同時に鷹の紋章にも力を集めて、同時に空へと放った。


 小規模な雨雲が空には生まれ、突風と雨が生み出される。横からの防壁なら、上から乱してやる! 


 そんな俺の試みは半分正解で、半分はずれだったようだ。生み出した雨雲はすぐに霧散し、その力を発揮するには不安定すぎた。しかし、地に落ちた葉っぱはそこかしこに散らばっているようにも見える。


「まだ実践レベルではないかもしれないが、発想の勝利だ。アポロの成長具合の速さには目を見張るものがある。僕もうかうかしてられないな」


 それは……蓮さん褒め上手なんだから……へへ。でも悪い気はしないな……魔法の合成みたいなの? それが使いこなせたらかなり戦略の幅が広がりそうだな。アカデミーに行けば教えてもらえるかな? あ、ただの見学者にそれは難しいか……


「おい何やってんだ! 探したじゃねえか。さっさと行くぞ!」


 エドガーの大きな声がした。しかし隣に喜撰の姿はない。用事は終わったってことなのだろうか。まあ、それよりもこれから行くという空中都市のアカデミーへの期待がむくむくとふくらんできた。


 わくわくする気持ちを抑えながら、黙ってエドガーについて行く。サオカン通りを離れ、また少し人気のない海辺の道を行き、今度は草木が生い茂る舗装されていない道を進み、2,30分位は歩いただろうか?


 開けた場所に感じるポータルの反応。そしておそらく一般人らしき人々がそこに集まっている。しかも、牛や羊や豚といった動物までいるぞ? あ、そうか、空中都市の人々の食糧ってことかな?


 その中でも異彩を放っているのが、真白なローブに青いリボンをつけた神官のような格好の、背の高い男性。エドガーは彼に近づくと、何やら口にした。するとローブの男は会釈をして、右の手のひらを俺らに示した。そこからは何かの魔力を感じる。


「これは、その……申し上げにくいのですが……決してかの地で強大な力を使わぬことを約束してくれますか?」


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