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廃墟の上に降り立つ太陽王<アポロ>  作者: 港 トキオ
第六巻 日の沈まぬ国の四季皇と外法の歌
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第二十六章 アポロの覚悟

その言葉は俺の胸を刺し、一瞬息が止まった。飯綱が言っているのは正論だ。だからこそ胸をかき乱し、俺を突き放した。俺には同行する資格がないのかもしれない。でもそれを認めるわけにはいかなかった。俺は落ち着いた声を意識して口にする。


「俺はアーティファクトの力を引き出す魔術師だ。だから、単独での先頭には向いていないかもしれないが、見くびらないで欲しい。俺だって、一人前の冒険者だ。必要ならギルドリングでレベルを見せてもいい」


「結構。そこまで言うなら同行するということだな」


 俺は「そうだ」と短く言った。飯綱は素っ気なく「結構、結構。了解した」と言うと前を向いて歩いて行く。俺はざわつく心を落ち着かせようとしていると、いつの間にか列の最後尾になっていた。


 慌てて歩みを早めようとすると、そこにエドガーがやってきた。


「お前、本当にやる覚悟があるのか?」


「うん」と俺は答えた。エドガーは俺の瞳をじっと見た後で、視線をそらし「頑張れよ」と言った。


 美しく色づいた木々の中を歩く。俺はエドガーとの訓練のことを頭に思い浮かべる。できる、と胸に強く思う。


 着いた場所は天然の洞窟らしき場所だった。一見しただけではとても精霊がいるような感じはしないし、魔力も感じない。風水の力を感じる力がないからかもしれないけれども。


「この内部に入るとすぐに、五つに別れた道がある。それを一人ずつ進んでもらう。その突き当りには石があるはずだ。後はその石を破壊するだけだ」


 飯綱がそう口にするとすかさずエドガーが、


「その精霊を静めるだかってのは、壊すだけでいいのか?」


「石を壊すことができたら、或いはそれをしようとすると必ず精霊に邪魔をされるだろう。その出てきた精と同調し、その命を刈り取るか、浄化するか。ともかく黙らせる」


「かーっ! 簡単に言ってくれるよな。まあ、霊体を消滅させるのは戦士の役割とは思えないんだがよ。実体があって破壊すればいいなら、蓮や俺を当てにするのも、まあ分かる。そうだよな?」


「え?」と俺が思わず口に出してしまうと、エドガーは非難するように言葉を続けた。


「生憎この状況で初対面のやべー奴を信用できる程、人間が出来てるわけでも間抜けでもないんだわ。なんか思惑があるなら早く言っちまいな」


 すると五十螺はまたにこりと微笑み「皆様の力を信じております」


 エドガーは舌打ちをして「はいはい、そうかよ。あくまでも態度を崩さねえと。チッ、お前らだんまりは得意そうだからな。さっさとすませちまうか」と先陣を切る。すると。蓮さんが俺の近くに来た。少しだけ、緊張が走る。


「この場は五行の力が働いている。アポロが火の属性を持っているとしたら、木の精がいる場所に行くとアポロにとって有利なはずだ。彼がその場に優先していった方がいい。他の人物は対応する強いエレメントは持っていないはずだ。しいて言うなら……エドガーが金か。エドガーは土の場所が有利だろう。飯綱と五十螺に得意な相性がないならば、彼らをそこに行かせればいい」


 その提案に二人は同意した。俺は蓮さんに「ありがとうございます」と告げる。それを聞いた蓮さんは、薄っすらだけど微笑んだように思えた。そうだよな。変に緊張して。蓮さんは、蓮さんだ。俺もこの儀を成功させるぞ!


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