秘密
ユウカとの一件があってからアルゴの様子がおかしい。
クエストにも誘われなくなったし、話しかけようとすると逃げるし、明らかに俺のことを避けてる。
ユウカの時も、いつもの敬語がなかった。
もしかして何か隠してるか?
「おいソラ。アミちゃんのこと何か教えてくれよ・・・なんだよその顔は」
ロンが意味不明なことを言い出した。
こいつは人の彼女(俺が勝手に作った設定)をまだあきらめない気か?
そしてただで教えるわけないだろ。
「報酬は?」
「3G」
「よし、教えよう」
「なにを教えようとしてるんですか?」
「え?」
「あっ」
ロンと話してたら後ろからアミの声が聞こえてきた。
「何って、アミの情報」
「なんで個人情報教えようとしてるんですか!」
「だって3G」
「お金でつられたんですか」
「だって、日本円で三千円だぜ」
「はぁ」
アミは大変だな。怒ったり呆れたり疲れたり、表情豊かだな。
ちなみに1G千円。1S百円。1K十円。Gはゴールド、Sはシルバー、Kはカッパーだ。
「あ、あれアルゴじゃね」
「え?」
ロンの言葉に指さす方を向いてみたら、本当にアルゴがいた。
一人で何か飲んでいる。
「アルゴ、なに飲んでるんだ?」
一応話しかけてみた。これでダメだったらあきらめよう。
「何ってお酒ですよ、お酒」
「はぁ?お酒って、お前未成年だろ。前、学生になったばかりだって言ってただろ」
「大丈夫ですよ。ほら、ばれなきゃ犯罪じゃ・・・」
「わー、それ以上は言うな。それ以上は言ってはいけない」
「何でですか!別にいいでしょう!ほら、ソラさんも飲みましょう」
「飲めるか!」
「なにぃ、私の酒が飲めんというのか!」
「お前はおっさんか!」
やばい、アルゴ絶対酔ってる。
気づいたらアルゴ寝てるし・・・ここで寝かせるのも邪魔だな。
「おっちゃん、アルゴ運ぶぞー」
「おう!」
なんかおっちゃんがにやにやしてるが気にしないでおこう。
数時間したらアルゴがおきた。
俺の部屋で寝かせてた。まずいかなとは思ったがほかに開いてる部屋があったわけではないので俺の部屋で寝かせることにした。ちなみにアルゴに手は出していない。けして臆病者ではないぞ、紳士なだけだ。
「ん?あっ」
「よっ、アルゴ・・・気分はどうだ?」
「えーと、最悪です。頭が痛いです」
「そ、そうか・・・お前って酔ってる間って覚えるタイプ?」
「はい、今日のこともすべて覚えてますよ」
今日はアルゴにとって最悪の一日になるだろうな。
「も、もういいですか。運んでもらったのは感謝しますので・・・さようなら」
「えっ、ちょっと待てよ」
「な、なんですか」
アルゴが急いで帰ろうとしたので急いで止めた。
さっきからそわそわしすぎだろ。
「お前、何か隠してるだろ」
「そ、そんなことは・・・」
「・・・よかったら教えてくれよ。何かできるかもしれない」
「・・・分かりました」
そう言ったら、アルゴは近くの椅子に腰かけ自分の過去について話し始めた。
この話を聞くことで自分の人生が大きく変わることになるなんて、このころのソラは全く考えてなかった。