紫電の魔女
拝啓お父さん、お母さん、私今死にそうです。
私は今日冒険者になりました。そこで依頼を受けたのです。一緒に受けてくれるって言う人がいたから、ゴブリンの群れの討伐にしたんです。そしたら、ゴブリンの王、ゴブリンキングがいて、今ソラ君が戦ってくれてます。でも、ソラ君たいして強くありません。
私はどうしたらいいんでしょうか。お父さんお母さん助けてください。
「おい、アルゴ!祈ってないで何とかしてくれ」
「私だって、魔法が使えたなら何とかしてますよ」
この世界は、魔法は最高司祭の方と神様、その秘書と人類の敵魔女だけです。
魔女は人類の敵だけど、私は特に悪い印象を持ちません。
とりあえず何とかしてみますか。
そう言って、アルゴは腰に掛けていたナイフを取り出して、走った。そして、数秒後こけた。
「・・・」
「・・・」
「大丈夫か?」
「大丈夫です。たぶん」
「大丈夫じゃなかったら困るんだけどな」
足を怪我してしまいました。どうしましょうか。
「足を怪我してしまいました」
「そっか、どうやって逃げようか」
ソラ君は何やら考え始めました。・・・あ、ゴブリンが気付いてしまいました。やばいです。
「ゴブリンが気付きましたよ。やばいですよ」
「ああ、ちょっと走るか」
そう言ったソラ君は私を持ち上げました。お姫様抱っこです。初めてです。
「これ、やられると恥ずかしいですね」
「お前はのんきだなぁ」
ソラ君は、かなり疲れてるようです。帰ったら、ご飯でもおごってあげましょう。お礼もしたいし。それにしても、本当にソラ君は男なのでしょうか。声は微妙だし、髪は肩にかかってるし、顔もかっこいいと言うよりかはかわいいに近い感じだし、女の子にしか見えません。
そんなこと考えてる間に、ソラ君が動き始めました。体に似合わず早いです。
あれ、なんか空から降ってくる。あれは・・・ファイヤーボールです。なぜ魔法が、私たちに向かって、降ってくるのでしょうか。なんか、やばいです。
「あの、ソソソラ君、あああああの、上から、ファファファイヤーボボールがあああ」
「え?ああああ」
ファイヤーボールが直撃しました。
何処だここ。ああ、まるでこの世界に来た時のことを思い出す。えっと、そうだ。ファイヤーボールが当たったんだ。・・・なんで生きてるんだ?
アルゴがいない。何処に言ったんだ?あたり真っ暗でなにも見えない。
「あら、もう起きたの」
女の人の声が聞こえた後あたりが明るくなった。まぶしい。
「あんたは誰だ」
「んー?私かい?私は、炎を司る紅蓮の魔女。名は名乗れないね」
そうか、ならその姿にも納得だ。いかにも魔女みたいな帽子をして、ローブをして、すべての装備が赤色。・・・ん?こいつ炎を使うって言ったか?
「俺たちにファイヤーボールを当てたのはお前か?」
「そうだよ。助けるためだから仕方ないね」
「なぜ助ける」
「質問の多いめんどくさいガキだね」
「質問に答えろ」
俺は強気で言った。弱気を見せたら殺される。そんな気がした。
「言われたからだよ。魔女の中で一番の実力者に」
「誰だよ」
「私ですよ。頼んだのは」
いきなり後ろから声がした。び、びっくりした。
俺は後ろを向いたとき、彼女にドキッとした。恋愛的な意味ではなくて、俺は彼女に見覚えがあった。
「こんにちはソラさん。私の名前はアミ」
彼女は俺がこっちに来る前の一年前に交通事故で死んだはずの幼馴染だった。
「雷鳴を司る紫電の魔女です」