2.妖精は力を貰う
言い忘れてましたが、投稿ペースはランダムです。ご了承下さい。
「さぁ、行きましょうか。」
アテナはそう言い、どこかへ飛んで行く。
「どうしました?早く来て下さい」
「どうしたも何も、俺飛べないんですが…」
「えっ、飛べないんですか? …そういえばまだ生まれたばかりでしたね。」
神なら飛ぶのも納得できるが、俺は飛べない。
…ん?待てよ、妖精としての羽があるじゃないか。
羽を動かそうと、背中に集中する。
しかし、動かし方を知らないため、羽は全く動かない。
「飛び方を教えておきましょうか。まず何処にも集中せず、前に進むことだけ意識してみてください。」
言われた通り、前に進むことだけを意識する。すると、力を入れていないのに、前世の全力疾走のスピードを超える速さで進む。
「うわっ止まらないぶつかる!」
途端に止まれ、と強く思うと、アテナの目の前で急に止まる。
「…少々危なっかしいですが、一応飛べるみたいですね。でも、生まれたばかりにしては上出来です。」
「あ、ありがとうございます、アテナさん。」
「さんを付けなくてもいいですよ。私のことはアテナ、と呼んでください。」
アテナはそう言い、また飛び始める。真っ黒な宇宙の中で、どうしたら方向が分かるのだろうか。
「あ、そういえばあなたの名前を聞いていませんでしたね。」
「あ、俺の名前は…」
あれ?名前が思い出せない。前世の顔を見ればわかるか、とも思ったが顔も思い出せない。
今思えば、前世の少し渋い声も詳しくは思い出せない。
どうやら、妖精になる前の自分に関しては意識していなかったので、殆ど覚えていないようだ。
「名前が無いんですか?」
「あるんですが、思い出せないんです。」
「成程…では、私が名前を付けてあげましょう。」
「いいのですか?」
「ええ。そうですね…白精 宇巧、というのはどうでしょうか。」
「白精宇巧ですか…いい名前ですね、ありがとうございます。」
名前について考えていたら、急にアテナが立ち止まった。
同じように止まり、アテナの近くによると、目の前に大きな岩の塊が浮いていた。
かなり遠くから見ていても視界に収まらないので、かなりの大きさのようだ。
「ここが、これから貴女に管理してもらう星です。」
「管理する、とは何をすれば…」
「簡単に言えば、貴女にはこの星の神になってもらいます。」
「神に!?でも俺、妖精ですよ?」
「大丈夫です。今から少し、私の神力を貴女に分け与えます。」
「神力、というのは…?」
「神の持つ特別な力です。それを持っている者は種族関係なく、神としての力が使えます。貴女は妖精ですので、神力が増えるにつれて貴女の元々持っている妖力も増えると思います。」
そういい、アテナは俺に向かって手を向ける。
アテナの手が光ったと思うと、体中を強い痛みが襲う。
「ッ…!」
暫く痛みを我慢していると、だんだん痛みが引いてくる。
ようやく痛みが治まると、体がものすごく軽くなったように感じた。
「成功したようです。では、自分の中に集中してみてください。」
よくわからないまま、瞼を閉じて、言われた通りに集中する。
すると、瞼の裏に文が現れ、自分の中に二つの力のようなものをはっきりと感じた。
片方の力のようなものは紫色で、炎の形をしていて、もう片方は白色で丸い形をしている。
「見つけました。紫色の炎と、白色の球体のようなものと、何かの文です。」
「それが妖力と神力です。量が多いほど、はっきりと感じられます。先程はかなりの量を与えましたから、はっきり見えたでしょう?」
「では、この文は何ですか?」
「…少し、読んでみてください。」
「えと…生命を司る、能力…と書いてあります。」
「成程、神力を持ったことによって能力が開花しましたか…」
「能力、とは?」
「それぞれの個体に与えられた、特別な能力のことです。能力を持っている者は稀なのですが、持っている者は特別な自分だけの力を使えます。貴女の場合、生命を司るので、生命を吹き込んだり、操ったりできます。」
「それはまたすごい…」
「しかし、最初から使えるわけではありません。妖力もですが、修行すれば妖術を使え、能力も色々と使えるようにになっていきます。」
妖術、というのは妖力を使った術なのだろう。
能力の方は、修行すればできることが増えていく、ということなのだろう。
「宇巧さん、一度、この星で修行してみては如何でしょうか?星の管理は、今の所星を安定させるだけでいいので。」
「そうさせてもらいます。」
「では、私は仕事に戻りますね。」
「もう行くんですか?」
「はい。わからないことがあれば、大声で呼んでくださればいいので。では、私はこれで。」
アテナはそう言い終わると、その場から消えた。
「さて言われた通り、修行するか~」
これから何億年と修行することになるのを、宇巧はまだ知らない。
誤字脱字あれば教えてください。
今回、ようやく主人公の名前です。
いきなり神になり、妖力も増えました。
主人公がすぐに事実を受け入れるのは、そういう性格です。
では、また次回。