14.妖精神と人妖の戦
遠くに見えるは妖怪勢力。
眼下に広がる人間勢力。
やがて、少しずつ、妖怪が動き出す。
人間たちは慌てて広場へ避難する。
広場にあるロケットに、我先にと乗り込んだ。
地面が揺れる。
そう、妖怪が襲撃してきたのだ。
「白銀は此処で待っててね」
「仰せの通りに」
先程の人間の元へと駆けつける。
よほど警戒していたようで、私の方を遠くから見つめている。
私がある程度近づくと、向こう側から話しかけてきた。
「貴女の言う通りになったわね。一応感謝しておくわ」
「結局信じたんだね、私は敵側なのに。」
「忠告を無視してのんびりできるほど人間は陽気じゃないわ。じゃぁ、私はもうロケットに乗るから。」
別れの挨拶を口にした女性は、ロケットに足を運ぶ。
「それじゃぁね、えーりん。もう二度と会うことは無いだろうけど」
「永琳、よ。さよなら、人間側の妖怪さん。」
永琳がロケットに乗り込むと同時に、妖怪が街へ入ってきた。
ここからでも聞こえる断末魔は兵士の物だろうか。
遠くの方で血飛沫と断末魔が飛び交う。
「さて、私も参加してみようかな。」
~~~~~
私は今、最前線にいる。まだ攻撃はしていない。
妖怪と人間の戦いは、恐らく妖怪の勝ちだろう。
人間が妖怪を倒しても、圧倒的な数で押し返される。
このままでは人間は押し負けてしまうだろう。
私は空気と同化する。妖精は自然の産物、自然そのものだ。空気になることなど容易い。
妖怪も人間も私には気づいていないようだ。
空気と化した体を素早く動かし、私自身が竜巻になる。
竜巻は妖怪だけを根こそぎ巻き込み、何処か遠くへと吹っ飛ばす。
残った妖怪はごく少数で、どうすることも出来ないまま木の陰などに避難する。
応援が来るのを待っているのだろう。
人間たちは放心状態で、何が起こったかも分かっていないのだろう。
只々こちらを見て呆然としている。
私はそんな人間たちを下目に、永琳の乗っているロケットへと足を運ぶ。
竜巻はやがてそよ風へと姿を変え、私は妖精の体に戻る。
永琳の乗っているロケットの窓を覗く。
永琳は先程の竜巻を見ていたようで、信じられない、といった顔をしている。
膝には、少し前に会った黒髪の子供が座っていた。永琳に何かを聞いている。
永琳も此方に何かを問いかけているようだが、ロケットの窓は音を通さない。
やがて、ロケットが発射された。
月を目指して上へ上へと。
私はロケットを追わずに、そのまま見送った。また会うことは無いだろう。
~~~~
白銀を待たせていた位置に戻る。
「主、もう戻ってきたのか。」
「そんなに早かったかな?それより、今からすべきことは分かる?」
といっても、白銀には分からないだろう。
眼下に広がる無数の空き家、物音一つしない無人の街、人間達の高い技術力。
これだけで分かる人も十分にいるだろう。
「人間達が生み出した沢山の物を貰っていくよ。」
「つまり、俺はめぼしいものを取っていけば良いのだな?」
「そういうこと。」
私は白銀に、小さな手提げを渡した。
手提げは私が創った異世界と繋がっており、いくらでも物が入る。
「じゃぁ、私はこっちから取るね。」
「では、俺は反対側へいこう」
白銀は、私と正反対の方向に歩き出した。
私も、白銀と正反対の方向へ歩き出す。
~少女採取中~
人妖大戦…もうちょっとだけ続くんじゃ
空き巣、ダメ、絶対。
主の好きなキャラは、華仙やにとり、こころですかね。
わかさぎ姫や芳香も好きです。