発見
終わりがやってきた。
空は夜でもないというのに小さな星々がきらめき、幾つかは尾をひいて流れていた。
そんななか、わたしは少し荒れた森のなかを走っていた。
数時間前、母や父、家族とはもう一生会えないであろう別れかたをしてしまっていたので、特に連れそう人間もおらず、ただ一人、この身を落ち着けられる場所を探して森のなかを走っていた。
遠くの空はほんのすこし赤かった。
昼を少しこえたであろう時間帯ながら、夕焼けの前の空模様がなんとも美しい限りで、雨露に濡れた緑の葉はそれに対比して濃く色づいている。
世界は美しかった。
家族と別れほどなく、わたしの心は自衛本能で麻痺しつつあった筈なのに、壊れかけたその景色を、日常では有り得ない神秘的なその様を、美しいと思えたのだ。
否、もしかしたら、麻痺していたからこそ、その世界を美しいと感じれていたのかもしれない。
しかしそうであろうとなかろうと、わたしは森のなかを走っていた。
ぬかるんだ土をはねあげ、舞散った木の葉を体のそこかしこにつけて走っていた。
ふと木々が開き、森のなかにすっぽりと空間ができた場所を見つけ足を止めると、そこには青い屋根の小さな教会が佇んでいた。