03.アリスと妖精。
カミリアです。
今回は訳分からない説明がごたごたしています。理解して頂けると嬉しいです。
「私達は簡単に言えば能力者だ。」
ノーリョクシャってなに?
おいしいの?
アリスはシンラに聞きかけ、はっとした。
こんなこと聞いたら殺される(※アリスの想像)。
『なんだコラァ!アタシの事なめてんのか!!?脳えぐって殺すぞ、ボケコラァ!!!』とか言われてホントにやられそう(※アリスの想像)。
「ま、内容がファミリーだから訳分からないだろうけど。」
白雪は言った。
…ファンタジーだろ。
ファミリーってなんだよ。
こんな時でも冷静に突っ込めるアタシって、パニック通り越して現実逃避しているか、真面目に聞いていないかのどちらかだろう、とアリスは思った。
ちなみにアリスは前者である。
「えーっと、ノーリョクシャ?って何?」
「よくあるヤツを想像するといい。サイコキネシスやテレポートといった類だ。」
ああ。アレだ。どっかのオッサンが『ハンドパワー!』とか言ってスプーン曲げてるアレか。
「で、WONDERLANDにはそういう能力者の集まりだ。」
ふーん。なるほど〜。
…とか言って納得できるかよ?
これでもアタシ、リアリストなんだぞ?とアリスは思った。
が。
「実際にやった方がわかりやすいだろう。かぐや!」
かぐやはどこから出したのか、日本刀の鞘を抜いた。そして
――《月桜》 纏え 《火衣》
と呟いた。
途端に日本刀の刃の周りに、永遠に消える事のないような赤い光が纏っていた。
「これがウチの能力、《蓬莱の刃衣》どすえ」
かぐやは刀を鞘に入れた。
「ちなみに先程のは《火衣》言うて、触れるだけで全身を焼かれているような痛みが襲うので、何があっても触れたらアカン。」
かぐやがニコニコと笑って言うのでさらに怖い。
急にシンラが人差し指を出した。
《形成》
シンラが呟くと、人差し指の上には、白く輝く丸い物が出来た。
シンラは人差し指で軽く回した。バスケ部の人がバスケのボールを回しているようだった。
「私は《円環》だ。これは《光の円環》。造ろうと思えば、炎、水、氷等造れるぞ。これを投げて攻撃する。ちなみに切れ味いいぞ。」
アリスは円環を使い、バケモノを真っ二つに裂いたシンラを想像した。
……想像しなけりゃよかった、と後悔したアリスであった。
「…アリス、何か気付かないか?」
「………え?」
「私は置いといて…君達の名前だ。何か気付かないか?」
シンラさんは置いといて…私達の名前?
かぐや、白雪、アリス?
………あ。
「お伽話?」
「そうだ。かぐやと白雪に『姫』をいれるとかぐや姫、白雪姫になり、私もシンラという名前に『デレ』を足すとシンデレラになる。」
「あ……でもそれって偶ぜ…」
「……だと思うか?」
「……え?」
「偶然だと…思うか?」
「………はい。」
「……でも、もしそれが……違ったら?」
「偶然じゃないとしたら?」
偶然じゃない?違った?能力者?
「……どういうことですか?」
「お伽話の名前がついた私達は能力を持っている。」
「アタシも持っていると言いたいんですか!!!」
「そーいうこと。でもね、君を私達みたいに早く覚醒させると危険だったから、成長するまで待ったわけ。」
白雪が軽く言った。この人は本当に真剣さがない。
「………危険?」
「そこでさっきの……白雪の言ったことに戻る。」
『ワンダーランドから転生』
『アンタは世界を破滅させる力を持った』
「結局訳分からない。」
「……簡単に言うと、だな」
「私達のように、名前にお伽話の登場人物の名前がついたヤツは全て……ワンダーランドからこの世界に能力を持って転生してきた。という訳だ。」
「転生」
「そうだな。アリス、君もだよ。」
「ワンダーランドと言うのはね、お伽話の世界。異世界と言うヤツね。詳しい話は解明されてないんだけど、ワンダーランドから送りこまれた怪物が、一人の人を狙ってる。」
「…一人の…人?」
「あなたよ、アリス」
「なんで!?」
「ワンダーランドの妖精もこっちに転生しているの」
「妖精?」
「絶大な力を持った妖精がこちらに送られてるんだ。その妖精の力を手に入れれば世界を……全てを手に入れられる。」
「そう考えたヤツらは、なにがなんでも妖精を捕まえなければならないの。」
「そして私達は見付けたの……アリス、あなたを。」
「アタシが妖精だと!?」
「落ち着きなはれ、アリス」
「落ち着けるわけないでしょ!!!訳わかんない!!妖精?転生!?お伽話?ワンダーランド!?」
頭の中がぐちゃぐちゃしてる。
鼓動がなんか早い。
心臓が痛い。
「しまっ……!!!!」
アリスの心臓の辺りが光り出した。
「アリス!!!」
「……何……コレ」
「落ち着け!!『ヒール・フェアリー』と唱えろ!!暴走したら……全てが消える!!!」
全てが消えええぇえ!!?
い、言うしかない!!
「ひ、『ヒール・フェアリー』!!!!!」
アリスの心臓の光がたちまち消えた。
「お、おさまった…」
「………シンラさん」
「なんだ?」
「どうしたらこの力、無くなりますか?」
「……無くならない」
「…………」
「戦え、言えるのはそれだけだ。行くぞ白雪、かぐや」
白雪はアリスを見て言った。
「……落ち着いたら、あたし達の所へ来なよ。べ、別にあんたを心配してる訳じゃないんだからね!」
「白雪はんは素直じゃないなぁ」
「う、うるさい!死ねっ!」
三人は出て行った。
「……強くなれるかな」
アリスは呟いた。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
果たして説明が通じたかドキドキしています。
「わかりやすい!」「わからない!」などなど意見、感想等下さったら嬉しいです!