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俺の名前は白石実。陽城高校の2年生。勉強普通、運動普通のどこにでもいるような高校生である。コミュ力に至っては壊滅的で、学校でも少ない友人と話をする程度だ。こんな俺だから、誰かが自分に関わってくることも、自分から他人に関わりに行くこともないと思っていた。…これから起こる未来なんて、このときはまだ知らなかった。
ある日の夕方。帰りのホームルームが終わってから既に30分ほど経っている。自分は特に部活に入ってるわけではないが、放課後こうして1人で絵を描く時間が好きなので、学校がおわるとほぼ毎日のように教室にのこっている。いつもなら平気で1時間以上居残りしているのだが、今日は雨が降り出していたので早めに帰ることにした。「そろそろ帰るか。」独り言をつぶやきながら荷物を整え、教室を出た。靴を持って昇降口を出ようとしたその時、誰かの人影が見えた。こんな時間に何してんだろと思いつつ、その人影をよく見ると、なんと「学校一の美少女」といわれている神代涼風だった。誰かを待っているのだろうか。はたまた傘を忘れて困っているのか。どちらにしても自分には関係ないと思って気にせず帰ろうとした。しかし、彼女の表情をみると、余計なお世話だとわかっていても、声をかけずにはいられなかった。「あの、こんな時間ですけど、誰か待っているんですか?」彼女は一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐにさっきの表情に変わった。「別に待っているわけではありません。お気遣い感謝しますが、あなたには関係がないので大丈夫です。」淡々とした口調で、彼女はそう言った。「あっそ。」思わずそういってしまった。けど、さすがに傘なしで濡れて帰るのはきついだろう。そう思った俺は、「はい。」「え?」「いや傘ないじゃん。これ使って。あと返さなくていいから。」「え、あ、ちょっと…」彼女の返事など待たず、俺は雨の中家まで走って帰った。




