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追放された掃除聖女の逆転劇

掲載日:2026/01/28

「リリアーヌ!

 お前との婚約を破棄する。貴様のような『掃除しかできない無能』は、我が聖教国の聖女にふさわしくない!」


 大聖堂に響き渡る、第一王子の声。

 隣には、いかにも「か弱そう」な顔をした異母妹のミシアが寄り添っている。


「お姉様、ごめんなさい……。

 聖女の力は『癒やし』であるべきなのに、お姉様の力は『掃除』なんて……。

 これからは私が、聖女として王子をお支えしますわ」


 私、リリアーヌが神から授かったギフトは

空間清浄ルームクリーニング】。


 どれだけ汚れた部屋も、一瞬でピカピカにするだけの力。


 だから私は、聖女でありながら毎日毎日、

 城の床やトイレを磨かされてきた。


「……わかりました。

 ですが、私を追放すれば、この国を『浄化』する者はいなくなりますよ?」


「ふん!

 掃除など下女にやらせれば済むこと。失せろ、ゴミ女!」


 私は静かに頭を下げ、

 必要最低限の荷物を持って国境を越えた。


 私の掃除は、ただの掃除ではない


 実は、私の【空間清浄】には秘密がある。


 私が掃除していたのは、

 単なる「埃」や「泥」ではない。


 地面から染み出す「瘴気」。

 人の悪意が形を成した「呪い」。


 それらを、私は

「掃除」という形で消し去っていたのだ。


 私が国を出た瞬間、

 その「蓋」は外れた。


 真の価値を知る国へ


 一週間後。

 私は隣国・トナーリ帝国にいた。


「……リリアーヌ殿。

 あなたの力、噂通り……いや、それ以上だ」


 目の前で膝をつくのは、若き皇帝アレクセイ様。


 彼は今、

 私の手によってピカピカになった玉座の間で、

 信じられないものを見るような目をしている。


 私が掃除をしたのは、

 彼の体を蝕んでいた「呪いの病」。


 そして、帝国全土を覆っていた「死の灰」だ。


「ただの掃除ですよ、陛下」


「いや。

 君がひと掃きするだけで、枯れた大地に花が咲き、病人が立ち上がった。

 君こそ真の聖女だ」


 彼はまっすぐに私を見つめ、


「……リリアーヌ。

 どうか、私の妻として

 この国を共に掃除まもってくれないか?」


「えっ……?」


 打算のない、純粋な敬愛と情熱。

 私は、大切にされる喜びを初めて知った。


 掃除聖女を失った国の末路


 その頃。

 私が捨てた故郷・聖教国は、地獄と化していた。


 リリアーヌという「フィルター」を失い、

 国中の地下から黒い瘴気が噴出。


 城壁は一晩でカビに覆われ、

 庭園は腐った沼に変わった。


「な、なんだこれは!?

 ミシア、早く癒やしの力で消せ!」


「無理ですよ、王子!

 私の力は怪我を治すだけ……。

 こんなドロドロの汚れ、消せませんわ!」


 食事には毒々しいカビ。

 ドレスは虫食いだらけ。


 王子はノイローゼになり、

 国民は叫んだ。


 ――「掃除聖女を返せ!」


 不要なものは、捨てる


 ついに彼らは、ボロボロの姿で帝国へ現れた。

 謁見の間は、あまりの異臭にざわめく。


「リリアーヌ! 戻れ! 命令だ!」


「国が……もう住めない!

 お前の『掃除』が必要なんだ!」


 ミシアも泣きつく。


「お姉様、お願い……。

 私、もう雑巾掛けなんてしたくないの!」


 私は、皇帝陛下の隣で静かに微笑んだ。


「王子の仰る通り、

 私はただの『掃除係』です」


「そうか! ならば早く戻って――」


「掃除の基本は、

 『ゴミを家に入れないこと』。

 そして――『不要なものは捨てること』です」


 私は、指を差した。


「今の私にとって、

 あなたたちは我が国の安寧を乱す

 『不要なゴミ』です」


「……陛下、このゴミの処分をお願いしても?」


 皇帝アレクセイ様が、衛兵に合図する。


「当然だ。

 我が愛しき妃を侮辱した不法入国者どもだ。

 ――即刻、摘まみ出せ」


「待て! リリアーヌ!

 ぐあぁぁぁ!」


 叫び声は、黄金の扉の向こうへ消えた。


 スッキリした結末


 あとに残ったのは、

 私の魔法で磨き上げられた、

 清潔で心地よい静寂。


「……ふふ。スッキリしました」


「それは良かった。

 ではリリアーヌ、掃除の続き……

 いや、私たちの結婚式の準備を始めようか」


 私は、愛する人の手を取り、

 幸せに満ちた新しい生活へ歩き出した。


 もう二度と、

 私の心を汚すものは現れない。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!


もし「リリアーヌの断り文句にスカッとした!」と思ってくださったら、

広告の下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして

応援していただけると、執筆の励みになります!


皆様のブックマークや評価が、新人作家である私にとって一番の支えです。

また次の短編でお会いしましょう!


【追記:連載版スタートしました!】 皆様の多大なる応援のおかげで、本作が全20話の連載版として生まれ変わりました!


短編では書ききれなかった魔王様との甘々なお掃除生活や、フィオナ王女の「黄金タワシ」無双、そして世界の寿命シミを洗う最終決戦まで、設定を大幅に加筆・再構成してピカピカに磨き上げました。


本日より11日間、初日は3回(12時/18時/21時)更新で、一気に完結までお届けします。 「あの掃除の続き」が気になっていた皆様、ぜひこちらからリリアたちの勇姿を見届けてください!


▼連載版はこちらから読めます▼

https://ncode.syosetu.com/n5623ls/1

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