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君のためなら、何でもできる。   作者: 足早ダッシュマン
第4章 ─錆びし黄金時代編─
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第7話 縺頑・ス縺励∩

※本作は一部に生成AI(ChatGPT)による言語補助を活用していますが、ストーリー・キャラクター・構成はすべて筆者が作成しています。

ご理解の上でお読みください。

1

まぶしい。

 それが、ユウの最初(さいしょ)感想(かんそう)だった。


 会場(かいじょう)(ひかり)(おと)()ちている。(あざ)やかな料理(りょうり)、グラスの触れ合(ふ あ)(おと)香水(こうすい)(にお)い。どれも(はな)やかなはずなのに、どこか(うす)っぺらい。


 その(なか)に――


(とう)さん……!?)


 ロスティスラフの姿(すがた)()つけた瞬間(しゅんかん)、ユウの心臓(しんぞう)()ねた。


 少し離(すこ はな)れた場所(ばしょ)で、(だれ)かと(おだ)やかに言葉(ことば)()わしている。背筋(せすじ)はまっすぐで、どこにいても目を引(め ひ)()姿(すがた)見間違(みまちが)えるはずがない。


()つかったら…()わっちゃう……!!)


 この(くに)でのことも、(いま)までのことも。

 全部(ぜんぶ)(ちち)()られてしまう。


 (かんが)えるより(さき)に、ユウは(ちか)くの長机(ながつくえ)(した)(すべ)()んでいた。(おも)たいテーブルクロスの(なか)は、(おも)ったよりも(くら)くて、(すこ)しムスク(けい)香水(こうすい)(にお)いがこもっている。


 息を潜(いき ひそ)める。


 ヒールがいくつも、すぐ()(まえ)行き交(ゆ か)っていた。


 やがて、低い声(ひく こえ)()ってくる。


「……まだか」


「もう準備(じゅんび)はしているはずだ」


予定(よてい)より(おそ)いな」


 うめき(ごえ)のように、喉の奥(のど おく)()(ころ)した(こえ)


 (なに)かを()っているのだろうか。


 パーティーでの会話(かいわ)にしては、(あき)らかに温度(おんど)(ちが)う。


(……なに?)


 ユウは膝を抱(ひざ かか)えたまま、(みみ)()ませる。


今夜(こんや)の"お(たの)しみ"だろう?」


()たされた(ぶん)価値(かち)()がる」


 くぐもった(わら)い。


 ぞわりと、背筋(せすじ)()える。


 深桜(みおう)での(うたげ)(おも)()す。

 あの(とき)は、(さわ)がしくても、どこか(ひと)体温(たいおん)があった。


 でも、ここは(ちが)う。


 (なに)かを――

 消費(しょうひ)する前の静(まえ しず)けさ。


 ユウは、テーブルの(うえ)から()ちてきた(ちい)さなスイーツを(ひろ)った。

 (いろ)だけは(はな)やかだが、ひとかじりすると、ほとんど(あじ)がしない。(あま)さも、酸味(さんみ)も、曖昧(あいまい)だ。


(おいしくないな……)


 もぐもぐと咀嚼(そしゃく)しながら、出口(でぐち)方向(ほうこう)(さぐ)る。


 (ちち)はまだ少女(しょうじょ)(はな)している。

 視線(しせん)はこちらに()いていない。


(いま)なら……)


 タイミングを(はか)る。


 だが、足音(あしおと)()えていく。

 ざわめきが、ひとつの方向(ほうこう)流れ始(なが はじ)めた。


()るぞ」


 (だれ)かが、(ささや)いた。


 ユウの鼓動(こどう)(はや)くなる。


 (なに)()るのかは()からない。

 けれど、ここにいてはいけないと、本能(ほんのう)()げていた。


 (あじ)のない(あま)さが、やけに口の中(くち なか)(のこ)っていた。


                      「皆様(みなさま)


 少女(しょうじょ)()んだ(こえ)が、会場(かいじょう)空気(くうき)()でた。


              「そろそろ、"お(たの)しみ"の時間(じかん)となります。」


 その一言(ひとこと)で、ざわめきが()む。


 ユウはテーブルクロスの隙間(すきま)から、そっと外を覗(そと のぞ)いた。


 (あらわ)れたのは、顔を黒い布(かお くろ ぬの)覆い隠(おお かく)した従業員(じゅうぎょういん)たちだった。

 全員(ぜんいん)(おな)歩幅(ほはば)(おな)姿勢(しせい)()には(ぎん)(みず)さし。


 中身(なかみ)()えない。


 だが、(きゃく)たちの視線(しせん)は、それに釘付(くぎづ)けだった。


 ごくり、と(だれ)かが唾液(だえき)飲み込(の こ)(おと)がする。


 従業員(じゅうぎょういん)無言(むごん)のまま、料理(りょうり)(うえ)へと(みず)さしを(かたむ)けた。


 とろり。


 透明(とうめい)とも、(あわ)虹色(にじいろ)ともつかない液体(えきたい)が、スイーツや肉料理(にくりょうり)(うえ)()ちる。


 瞬間(しゅんかん)


 空気(くうき)が、()わった。


 「……ああ」


 (だれ)かが、恍惚(こうこつ)とした(こえ)()らす。


 (つぎ)瞬間(しゅんかん)(きゃく)たちは一斉(いっせい)(さら)へと手を伸(て の)ばした。


 上品(じょうひん)さも(なに)もない。

 フォークを(にぎ)りしめ、(さら)引き寄(ひ よ)せ、(くち)いっぱいに詰め込(つ こ)む。


 「これだ……!」


                      「もっと、もっと寄越(よこ)して!」

        「やめたくない……!!」


 ()(いろ)が、()わっている。


 さっきまで(うつ)ろだった(ひとみ)が、ぎらついていた。

 まるで(なに)かの枷が外(かせ はず)れたかのように。


 笑い声(わら ごえ)とも、喘ぎ声(あえ ごえ)ともつかない音が広(おと ひろ)がる。


 (なか)には従業員(じゅうぎょういん)腕を掴(うで つか)み、(みず)さしを(うば)()(もの)もいた。


     「()

                             て

                 な

                      い

                    !」


 そのまま、直接(ちょくせつ)(くち)をつける。


 (のど)()らしながら、飲み干(の ほ)そうとする。


 (こぼ)れた液体(えきたい)が、(ゆか)へと()ちた。


 とろり、と。


 それは、テーブルの(した)へと(なが)()み――


 ユウのすぐそばで()まった。


(……なんだろ)


 鼻先(はなさき)に、甘い匂(あま にお)いが(とど)く。


 (みず)あめのようでいて、(ちが)う。

 花の蜜(はな みつ)のようでいて、もっと()い。


 (あたま)が、ふわりと(かる)くなる。


(あま)くて……クセになりそうな……)


 無意識(むいしき)に、(からだ)(まえ)()る。


 (にお)いの(もと)へ、(ちか)づいた、その瞬間(しゅんかん)――


「……ユウ」


 低い声(ひく こえ)が、頭上(ずじょう)から()ちてきた。


 心臓(しんぞう)が、()まった。


 ゆっくりと(かお)()げる。


 テーブルクロスの()こう。

 (かげ)()こうに()つのは――


 父さん(ロスティスラフ)


 (かれ)視線(しせん)は、(しず)かで、そして(するど)かった。


 周囲(しゅうい)ではまだ、(むさぼ)(おと)(ひび)いている。


 だがその(なか)で、(ちち)()だけが、はっきりとユウを(とら)えていた。

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