第6話 パーティー開催!!
※本作は一部に生成AI(ChatGPT)による言語補助を活用していますが、ストーリー・キャラクター・構成はすべて筆者が作成しています。
ご理解の上でお読みください。
1
ホテルの大広間では、すでにパーティーが始まっていた。
シャンデリアの光を受けて、宝石や金糸がいやに主張している。だが集まった億万長者たちの装いは、金額のわりにどうにも野暮ったく、身体に馴染んでいない。仕立ての良さよりも「値段」を着込んだ人間の群れだった。
ロスティスラフは、その輪の端で一人の少女と向かい合っていた。
このパーティーの主催者はユウと同じくらいの年齢だろう。淡い色のドレスを着た彼女は、物珍しそうに彼を見上げている。
「まさか、ここでお会いできるなんて……」
彼女は少し声を潜めた。
「あなたが、あの――もう存在しない劇団の、伝説のスターだってことは存じ上げております。」
ロスティスラフは小さく笑い、肩をすくめた。
「噂が先走りすぎただけですよ。伝説なんて、大抵は後付けです。」
お世辞をかわすその間にも、彼の視界の端では奇妙な光景が続いていた。
億万長者たちは彼にほとんど関心を示さない。代わりに、誰かの到着を待つように時計を見たり、扉の方へ視線を投げたりしている者がいる。
まるで、今ここにいる人間すべてが“前座”であるかのように。
その空気に気づいたのか、少女は意味ありげに微笑んだ。
「このパーティーのお楽しみは――これからなんです」
含みを残したその言葉に、ロスティスラフは問い返さなかった。
ただ、彼女の視線の先――まだ何も起きていないはずの空間を、静かに見つめるだけだった。
2
ホテルとは別の会場の一角、億万長者たちの喧騒から切り離された空間で、魔女会は始まっていた。
――始まっては、いたのだが。
「……なんで、こうなるんだろ」
ヴェラは、自分のドレスの裾を一度だけ見下ろした。
落ち着いた色合いの、体の線を無理に強調しない上品なドレス。
社交の場としては、何ひとつ間違っていない。
だが、周囲を見渡せば――
カボチャ色のマントを翻して踊る魔女。
頭に星を載せ、意味不明な呪文を叫ぶ魔女。
スパンコールだらけのローブで、床を転げ回る魔女。
どう見ても、統一感はない。
むしろ、意図的に“揃えていない”ようにすら見える。
「……仮装大会じゃねえよな」
小さく漏らした呟きは、音に紛れて消えた。
そんな中、ひときわ異質な存在が、会場中央へと進み出る。
黒猫の着ぐるみ。
やけに大きな耳、無駄に愛嬌のある目。
場違いなほど間の抜けた見た目に反して、放たれる魔力だけは、妙に重い。
「はーい、ちゅーもくー」
軽い声が、会場に響いた。
「今日はね、集まってくれてありがとね。強制参加ん人もおるやろうばってん、そこはまあ……細かかことは気にしぇんとって」
笑い声が起こる。
深く考えない者たちの、軽い笑いだ。
ヴェラは腕を組んだまま、黙ってその様子を見ていた。
「みんなモナルダは初めてやろ? しぇっかくやけん、今日は楽しんでほしか」
黒猫の着ぐるみは、そう言って自身の胸をポンと叩く。
「飲んで、食べて、騒いで。肩の力、抜いていこ?」
拍手と歓声。
場の空気は、完全に“お祭り”のそれだった。
だが。
ヴェラは気づいていた。
誰も、なぜ呼ばれたのかを聞いていない。
誰も、目的に触れようとしない。
それを当然のように受け入れている、この異様さ。
着ぐるみの目が、ふとこちらを向いた気がした。
ただの偶然か、それとも――
(……最初から、考えさせる気がない)
楽しめばいい。
疑わなくていい。
そう言われているようで、ヴェラは背筋に冷たいものを感じた。
彼女は、ドレスの裾を指先でつまみながら、静かに息を吐く。
これは、ただの宴ではない。
理由は分からない。だが――
分からないまま進むこと自体が、罠なのだと。
ヴェラは、そう確信し始めていた。




