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君のためなら、何でもできる。   作者: 足早ダッシュマン
第4章 ─錆びし黄金時代編─
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第5話 コントラスト

※本作は一部に生成AI(ChatGPT)による言語補助を活用していますが、ストーリー・キャラクター・構成はすべて筆者が作成しています。

ご理解の上でお読みください。

1

ホテルの正面に着いたとき、ユウは思わず足を止めた。

大都市スマラグドスでもひときわ眩しい建物で、ガラスと光が重なり合い、近づくだけで息が詰まりそうだった。


裏口から控えの部屋へ通されると、待っていた人たちが手際よくユウを椅子に座らせる。

服を替えられ、髪を整えられ、知らない香りをまとわされるたび、鏡の中の「ぼく」は少しずつ別の誰かになっていくようだった。


「……変じゃない、かな」


小さく呟いても返事はない。

誰もが忙しそうで、ユウの戸惑いには気づかないふりをしている。


やがて扉の前に立たされる。

きらびやかな音楽と人のざわめきが、扉の向こうから漏れてきた。


ユウは背筋を伸ばし、ぎこちなく一歩を踏み出す。

――ここが、選ばれた人間だけの宴の場所だ。


2

ホステルを後にしたミチルは、苛立ちを胸の奥に押し込めたまま、大都市を歩いていた。


 昼頃の時間帯なのに、人の気配だけが不自然なほど薄かった。

 これほどの大都市でありながら、生活の匂いがしない。


「……気味の悪い場所」


 思わず漏れた独り言を、ミチルは自ら戒めるように口を閉ざす。


 そのときだった。


 不意に、肩に衝撃が走る。


「――っ」


 反射的に振り向きかけたミチルだったが、ぶつかった相手は謝罪もなく、そのまま前へ進んでいった。

 中年ほどの男。背を丸め、焦点の合わない目で、ふらふらと直線を描くように歩いている。


 すれ違いざま、かすれた声が耳に残った。


「……マイ……アマ……」


 意味を成さない呟き。

 祈りのようでもあり、呪いのようでもある。


 男は一度も振り返らず、狭い通りの奥へと溶けていった。


 ミチルは、その場に立ち尽くす。


 背筋に、ひやりとしたものが走った。


(……なんなのよ)


 ミチルは何事も無かったかのようにまた歩き出した。

 ――これ以上、深入りするべきではないと、本能が告げていたからだ。

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