謎
たくやとりょうが通学路の事故を未然に防いだ後、二人はさらに多くの人々を助けるため、カメラを使い続けた。彼らは写真に写る未来の出来事を注意深く観察し、それに基づいて行動することで、多くの危険を回避してきた。
ある日、たくやは再びカメラを持ち出し、街中を撮影していた。特に変わったことは起こらず、いつものように平凡な日常が続いていた。しかし、たくやはそれに満足せず、何か大きな出来事が起こる予感を抱いていた。
「最近は大きな問題がなくて平和だけど、また何か起こるかもしれないな」とたくやはりょうに言った。
「そうだな。常に警戒しておくに越したことはない」とりょうも同意した。
その夜、たくやは撮影した写真を現像していた。いつものように写真が浮かび上がってくるのを見守りながら、一枚一枚確認していった。そして、ある一枚の写真が彼の目に留まった。
「りょう、また何か見つけたぞ」とたくやは写真を見せた。
その写真には、たくやとりょうが知らない男が写っていた。その男は、彼らが知っているどの人物とも異なり、不気味な雰囲気を漂わせていた。
「これは誰だ?」りょうが尋ねた。
「わからない。でも、この男が何か悪いことを企んでいるような気がする」とたくやは不安げに答えた。
「とにかく、この男のことを調べてみよう。写真に写っている場所から手がかりを探せるかもしれない」とりょうは提案した。
翌日、たくやとりょうは写真に写っていた場所に向かい、その男の手がかりを探し始めた。写真の背景には、古い倉庫が写っていた。二人はその倉庫に向かい、周囲を注意深く観察した。
「何か手がかりはあるかな」とたくやは言った。
二人は倉庫の周囲を歩き回り、中に入ると、薄暗い空間にさまざまな古い物品が散乱していた。彼らは慎重に探索を続け、男の手がかりを探した。
「たくや、これを見てくれ」とりょうが指差した。
りょうが指差した先には、古びた机の上に何かの書類が置かれていた。たくやはその書類を手に取り、内容を確認した。
「これは…計画書か?」たくやは驚きの声を上げた。
書類には、街中で大きな爆発を起こす計画が詳細に記されていた。計画の日時や場所も明確に書かれており、実行されれば多くの人々が危険にさらされることが明らかだった。
「これは大変だ…すぐに警察に知らせないと」とりょうは緊張した声で言った。
「でも、その前に、計画の首謀者を突き止めないと。写真に写っていた男が関与しているはずだ」とたくやは冷静に言った。
二人はその書類を持ち出し、写真に写っていた男の手がかりをさらに探し、ついに男の居場所を特定することに成功した。
「ここが奴のアジトか…」たくやは男の隠れ家を見つめた。
彼らは影の男に教えられた通り、慎重に行動しなければならなかった。たくやとりょうは男の動きを観察し、計画を練るために隠れ家の周囲を探索した。
「この男が爆発を計画しているに違いない。なんとしてでも止めなきゃ」とりょうは決意を固めた。
「そうだな。まずは警察に通報して、この場所を抑える必要がある」とたくやは冷静に言った。
二人は警察に通報し、男の計画と隠れ家の情報を提供した。警察は迅速に対応し、隠れ家を包囲した。たくやとりょうは警察の動きを見守りながら、計画が無事に阻止されることを祈った。数時間が経ち隠れ家の扉が開いた。
中から出てきたのは何人かの警察に拘束された男だった。
「やった、ついに捕まえたぞ!」たくやは警察が男を逮捕する様子を見て喜びの声を上げた。
「本当に良かった。これで多くの人々が救われたんだな」とりょうも感謝の気持ちを込めて言った。
警察には感謝と共に厳しいお叱りを受けた。もっと早く通報しろと。まあそうかもしれない。
「これで解決だな。正義のヒーローごっこも終わりにしよう。これ以上は俺たちの身に危険が迫るし、このカメラももう必要ないな」とたくやは言った。
「そうだな。これからは前までの普通の生活に戻ろう」とりょうも同意した。
数日後、たくやとりょうが学校への道を歩いていると、通りの掲示板に新しいイベントの告知が貼られているのを見つけた。何気なくそのチラシに目をやると、そのイベントの主催者名に見覚えのある名前が記されていた。それは、彼らが逮捕させたはずの男の名前だった。
「まさか…」たくやは驚きの声を上げた。
「奴は捕まったんじゃないのか?それとも、これは別の誰かが計画を引き継いでいるのか…?」りょうは困惑した。
たくやとりょうは一度カメラを手に取ったが、しばらくの間その場で立ち尽くした。目の前の物を信じることが出来ず、どうすればいいのか分からなかった。
数秒後、先に口を開いたのはたくやだった。
「やっぱり、このカメラを使って調べるしかないな」
「そうだな。まだ終わってないみたいだ」とりょうは同意した。
彼らは再び写真を撮り始め、影の男を追うことを決めた。