手がかり
たくやとりょうは校庭での出来事を経験し、カメラの力が本物であることを再認識した。未来の出来事が確定しているわけではなく、彼らの行動によって変わることもあるのだと理解し始めた。だが、彼らはまだすべての謎を解明したわけではなかった。
数日後、たくやは再びカメラを持ち出し、街の様子を撮影することにした。学校の帰り道、彼は様々なシーンを撮影しながら歩いていた。りょうも一緒にいて、たくやの行動を見守っていた。
「たくや、次は何を撮る?」りょうが尋ねた。
「街の風景をもう少し撮ってみるよ。何か面白い写真が撮れるかもしれない」とたくやは答えた。
彼らは商店街、駅前、そして公園など、さまざまな場所で写真を撮り続けた。たくやはシャッターを切るたびに、カメラの力がどのように働いているのかを考えていた。
「これで十分かな」とたくやは言い、フィルムを現像するために家に戻った。
自宅で現像作業を進めるたくや。彼は写真が少しずつ浮かび上がるのを見ながら、未来の出来事が写っているかどうかを確認していった。
そして、一枚の写真が彼の目を引いた。その写真には、たくや自身が街中で歩いている姿が写っていたが、背後には見知らぬ男のシルエットがぼんやりと写っていた。
「りょう、これを見てくれ」とたくやは写真をりょうに見せた。
「誰だこれ…?こんな男、見たことないぞ」とりょうは驚いた。
「もしかして、これが例の影の男ってやつかもしれない…」たくやは写真を見つめながら言った。
「影の男…?どういうことだ?」りょうが疑問の声を上げた。
「カメラを手に入れた時、店主が言ってたんだ。未来を写すカメラには、未来を知る影の男が関わっているって。もしかしたら、この男がその存在なのかもしれない」とたくやは説明した。
「なるほど…じゃあ、本当にこの男が未来を操っているってことか?」りょうは考え込んだ。
「わからない。でも、この写真が撮れた場所に行ってみて、何か手がかりを探そう」とたくやは提案した。
翌日、たくやとりょうは写真に写っていた場所に向かった。そこは商店街の一角で、人通りが多い場所だった。二人は周囲を注意深く観察しながら、影の男の手がかりを探した。
「見たことある人はいるか?」たくやがりょうに尋ねた。
「いや、見覚えのある顔はないな」とりょうは首を振った。
その時、たくやの視界に一瞬、写真に写っていた男のシルエットが現れた。彼はその男を見逃さず、後を追い始めた。
「たくや、待て!」りょうが叫んだが、たくやは無我夢中で影の男を追いかけた。
影の男は商店街の裏通りに入り、たくやもそれを追った。狭い路地を抜け、たくやはついに影の男を見失った。
「くそっ、逃したか…」たくやは息を切らしながら悔しそうに呟いた。
「大丈夫か、たくや?」りょうが追いつき、たくやの肩を叩いた。
「ああ、でもあの男、一体何者なんだ?」たくやは疑問を抱いたままだった。
「これからどうする?」りょうが尋ねた。
「このカメラを使って、影の男の手がかりを探そう。必ず何か見つかるはずだ」とたくやは決意を新たにした。