運命の写真
翌日のフリーマーケットでの出来事を確認し、たくやとりょうはカメラの力が本物であることを確信した。二人は次のステップとして、より具体的な未来の出来事を写すための計画を立てた。
「次はどうする?」りょうがたくやに尋ねた。
「もっと日常的な場所で試してみよう。例えば、学校とか…」たくやは提案した。
「いいね。学校なら色んな出来事が起こるし、何かしら面白い写真が撮れるはずだ」とりょうも同意した。
翌週、二人は学校にカメラを持ち込み、休み時間や放課後に様々なシーンを撮影した。教室での風景、廊下での会話、校庭で遊ぶ生徒たち。たくやはあらゆる角度からシャッターを切った。
「これで十分だな。家に帰って現像しよう」とたくやは言い、二人は撮影を終えて帰宅した。
自宅で再び現像作業に取り掛かるたくや。りょうも一緒に手伝いながら、写真が浮かび上がるのをじっと見守った。
「さあ、今回はどんな未来が写っているのかな…」りょうは期待と不安が入り混じった声で言った。
現像が終わり、たくやは写真を一枚一枚確認していった。最初の数枚は特に変わったことは写っていなかった。しかし、一枚の写真が彼の目に留まった。
「これは…」たくやは写真を凝視した。
その写真には、たくや自身が倒れている姿が写っていた。周りには数人の生徒が心配そうに彼を取り囲んでいる。
「たくや、これ、お前じゃないか?」りょうが写真を見て驚いた。
「そんなはずは…撮った覚えはないけど、確かに俺だ…」たくやは信じられない思いで写真を見つめた。
「もしかして、これはお前の未来の姿を写してるんじゃないか?」りょうは不安げに言った。
「もしそうだとしたら、俺に何か良くないことが起こるのかもしれない。でも、どうすればいいんだ…?」たくやは混乱した。
「とにかく、この写真に写っている場所と状況を特定しよう。それで、何が起こるのか予測できるかもしれない」とりょうは提案した。
二人は写真を詳細に観察し、背景に写っている風景や周囲の人々から、場所と時間を特定しようとした。
「これは校庭だな。昼休みの時間帯っぽい」とたくやは言った。
「じゃあ、明日昼休みに校庭に行って、注意深く観察しよう。何か異変が起こる前に防げるかもしれない」とりょうは言った。
翌日、たくやとりょうは写真に写っている場所と同じ位置に立ち、周囲を警戒しながら過ごした。たくやは少し緊張しながらも、りょうと一緒に状況を見守った。
しかし、昼休みが終わるまで何も起こらなかった。
「何も起こらなかったな。もしかして、この写真は別の日のことを写してるのかもしれない」とたくやは言った。
「そうかもしれない。でも、これで少し安心できるな。今後も注意深く観察していこう」とりょうは励ました。
二人はこの経験から、未来の出来事が必ずしも確定しているわけではないことを学び、さらにカメラの力を探求していくことを決意した。