力試し
たくやは隣家でのおばあさんの手伝いを終えると、急いで自宅に戻った。りょうはたくやの部屋で現像された写真を眺めながら、色々と考えを巡らせていた。
「お帰り、たくや。何か手伝うことはあったの?」りょうが問いかけた。
「ああ、ちょっとしたことだけどね。でもさ、今度こそこのカメラの力をしっかり確かめよう」とたくやは言った。
「そうだな。もっとわかりやすい未来の出来事を撮ってみようか。例えば、どこかのイベントとか、誰かに特定の行動をしてもらうとか」とりょうが提案した。
「それはいい考えだな」とたくやは同意した。「じゃあ、明日、街で何か面白いイベントがないか調べてみよう。」
次の日、たくやとりょうは街に出かけ、週末に開催されるイベントを探し回った。彼らは公園でのフリーマーケットを見つけ、そこが実験に適していると感じた。
「フリーマーケットなら色んな人が集まるし、何か面白い出来事が起きるかもしれない」とたくやが言った。
「よし、決まりだな。じゃあ、フリーマーケットの日にカメラを持って行って、たくさん写真を撮ってみよう」とりょうは興奮気味に言った。
そして週末、たくやとりょうはカメラを持って公園のフリーマーケットに出かけた。公園は多くの人々で賑わっており、露店やパフォーマンスがあちこちで行われていた。
「ここなら、何かしら未来を写すにふさわしい出来事が起こりそうだ」とりょうは目を輝かせた。
たくやはカメラを構え、様々なシーンを撮影し始めた。露店の売り子、パフォーマー、訪れる家族連れなど、次々とシャッターを切った。
「これだけ撮れば、何かしらの未来が写っているはずだ」とたくやは言い、撮影を終えるとフィルムを現像するために家に戻った。
自宅に戻り、たくやとりょうは再び現像作業に取り掛かった。二人は現像液に浸したフィルムが少しずつ姿を現していく様子をじっと見つめていた。
「さあ、どうなるかな…」たくやは緊張しながら写真を一枚一枚確認していった。
突然、たくやの手が止まった。彼は目の前の写真に釘付けになった。
「これは…」たくやは信じられない思いで呟いた。
その写真には、りょうが大きなぬいぐるみを抱えている姿が写っていた。しかし、撮影した時点ではりょうがそんなぬいぐるみを持っていた覚えはなかった。
「たくや、どうしたんだ?」りょうが写真を覗き込むと、自分が写っていることに驚いた。「これ、俺か?こんなぬいぐるみ、持ってないぞ」
「やっぱり、このカメラは未来を写しているんだ…」たくやは確信を持った。「りょう、明日のフリーマーケットでこのぬいぐるみを見つけたら、必ず手に入れてみてくれ」
「わかった。もしこれが本当に未来を写しているなら、そのぬいぐるみを手に入れることで確かめられるな」とりょうは同意した。
たくやとりょうは、翌日再びフリーマーケットに行き、写真に写っているぬいぐるみを探し始めた。すると、予想通り、そのぬいぐるみがある露店で売られているのを見つけた。
「これだ!」りょうは興奮してぬいぐるみを手に取り、購入した。
「これで確かめられたな…このカメラは本当に未来を写しているんだ」とたくやは言い、二人はその力を試し続ける決意を固めた。