実験
翌朝、たくやは興奮と緊張で目を覚ました。昨日の出来事が頭から離れず、彼は一刻も早く友人のりょうとカメラを試してみたかった。約束の時間より少し早めにりょうの家に到着したたくやは、カメラをしっかりと抱えてインターフォンを押した。
「おはよう、たくや。そんなに急がなくてもいいのに」とりょうは笑いながら出迎えた。
「いや、これ、本当にすごいんだって!早く見せたいんだ」とたくやは興奮気味に答えた。
二人はたくやの家に戻り、庭でカメラを試すことにした。たくやは再びカメラを構え、シャッターを切る。りょうも一緒に写真を撮りながら、二人はさまざまなポーズをとって楽しんだ。
「本当に未来が写るなら、何か特別なものを撮ってみたいな」とりょうが提案した。
「そうだな…じゃあ、ちょっと街に出てみようか」とたくやは同意し、二人は近所を散策しながら写真を撮り続けた。
数時間後、たくやの家に戻った二人は、さっそく現像作業に取り掛かった。たくやは慎重にフィルムを取り出し、現像液に浸していく。りょうも興味津々で作業を見守っていた。
「これで本当に未来が写っているなら、すごいことになるな…」りょうは呟いた。
現像が終わり、写真が一枚一枚浮かび上がってくる。二人はドキドキしながら写真を確認した。その中に、一枚の奇妙な写真があった。そこには、二人が写っているのと同時に、背後に見知らぬ人物がぼんやりと写り込んでいた。
「誰だこれ…?こんな人、いなかったよな」とりょうが写真を指差した。
「本当だ…なんか、影みたいだな」とたくやは不安げに写真を見つめた。
「もしかして、これが未来を写してるってことか…?それとも、ただの影の錯覚か?」りょうは頭を捻った。
「でも、昨日の子供の写真も、今日そのまま現実になったし…」たくやは前日の出来事を思い出しながら、さらに不安が募った。
その瞬間、たくやの携帯が鳴った。画面には、隣の家に住むおばあさんからの着信が表示されていた。
「たくやくん、ちょっと手伝ってほしいことがあるのだけど…」とおばあさんが言った。
たくやは電話を切ると、りょうに向かって言った。「ちょっと隣のおばあさんのところに行ってくる。戻ったら、またカメラを試そう」
「了解。俺はここで待ってるよ」とりょうは言い、たくやを送り出した。
たくやが隣家に向かうと、その道中で昨日写真に写っていたのと同じ場所で、再び子供が転ぶ瞬間に遭遇した。彼は胸の鼓動が速くなるのを感じながら、これは単なる偶然ではないことを確信し始めた。
「本当にこのカメラ、未来を写すんだ…」たくやは自分に言い聞かせるように呟いた。
次に何が起こるのかを知る恐怖と、未来を変える力を手に入れたかもしれないという興奮が入り混じる中、たくやはりょうと共に、この不思議なカメラの謎を解明する決意を固めた。