骨董品店での出会い
土曜日の午後、たくやは街外れの古い商店街を歩いていた。彼は普段とは違う場所を探索するのが好きで、この商店街もその一環で訪れた。風に乗って漂ってくる骨董品の香りが、どこか懐かしい気持ちにさせた。
たくやの目に、一軒の古ぼけた骨董品店が飛び込んできた。看板は色褪せ、店内は薄暗いが、窓から見える無数の古い品々が彼の好奇心をくすぐった。
「ここにしようかな」とたくやは独り言を言いながら店に入った。
「いらっしゃいませ」と、店の奥から年老いた店主がゆっくりと現れた。白髪が混じる髪をオールバックにし、眼鏡の奥の目はどこか鋭い光を放っていた。
「お探しの物があれば、ご自由にどうぞ」と店主は穏やかな声で言った。
たくやは店内を見渡しながら、棚に並んだ様々な品々を手に取って見ていた。その中でも特に彼の目を引いたのは、埃をかぶった古いカメラだった。
「このカメラ、まだ使えるんですか?」とたくやがカメラを手に取ると、店主がにっこりと笑った。
「ああ、それは古いけれど、まだ十分に使えるよ。面白い逸話もあるんだが、聞いてみるかい?」と店主は言った。
たくやは興味を引かれ、店主の話に耳を傾けた。
「このカメラは、未来を写すと言われているんだ。何度も買い手がついたが、みんな戻ってきてしまう。それを手にした人々は、未来の出来事を写す写真に驚き、怖くなって手放すんだ」
たくやは興味深そうにカメラを見つめた。古びた外見とは裏腹に、どこか神秘的な雰囲気が漂っている。
「その話、本当なんですか?」とたくやは疑問の声を上げた。
店主は静かに頷いた。「ああ。影の男とやらが未来を操っているとか言っていたな。信じるか信じないかは君次第だ。でも、試してみる価値はあるだろう?」
たくやは思い切ってカメラを購入することに決めた。家に帰る途中、彼は早くこのカメラを試してみたいという興奮で胸を高鳴らせていた。
「もし本当に未来を写せるなら、一体どんな写真が撮れるんだろう」とたくやは想像しながら、自宅への道を急いだ。