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9/10

9☆とある次女の帰り道


ちょっと長くなりましたZE←


最後まで読んでくれると嬉しいです^^




あ、どうも。藍堂家の次女、実景。


あたしは今、藍堂棗吾という名の馬鹿野郎でシスコンな兄貴からの頼みで、スーパーで買い物中。


今度あたしが料理当番のとき、棗兄が苦手な茄子の料理を振舞ってやろうと思う。だから、買い物かごには茄子がたくさん入ってる。


棗兄からのメールの内容には、今日買うもののリストがのってた。あたしはそれを見ながら、商品をかごに入れていく。


よし、全部入れた。後は…お菓子とかアイスとかも買おう。


……って、調子のってアレもコレもかごに入れてたら、山盛りになってた。


「~~~っ!」


かなり重い。レジまで後少し。気合いだ、あたし!


空いているレジの一歩手前まで来たところで、ババァに横入りされた。 すっげ腹立つ!


「ちっ…ざけんなクソババァあたしの後ろ並でろ」


って言ったらあたしに譲ってくれた。言ってみるもんだね。


お金を払い、袋に詰める。1袋で済んだけど…やたらとデカイし、重い。


よしっ。気合いだ、あたし!


袋を持つ。


「……?」


なんか…軽く感じる……ような気がする。


「なんでこんなに買ってるの…馬鹿でしょ」


「し、翔兄!」


ため息をつきながら、翔兄が半分持ってくれる。


「なっ、なんでここに…」


「馬鹿な妹のことだからね…余計なものたくさん買って、荷物が重くなってるだらうと思って来てみたら……」


ば、馬鹿な妹!? 翔兄は一言余計っ!


「案の定、君はこうしている」


「……悪かったね」


「はぁ。まったく、端から見てて馬鹿にしか見えない。で、その馬鹿が僕の妹なわけだよ」


あたしは、黙って翔兄の言葉を聞く。


「息を切らしながら家に帰ってくる姿を想像したら哀れに思えてね…こうやって半分持ってあげてるんだよ」


翔兄は普段すっごいイヤな奴だけど、たまにみせるこの優しさが好きだったり…。


「あああ哀れってなに! つか、頼んでないし! 1人でも帰れるし!」


また出た、あたしの悪い癖。こうやって優しくされると、素直になれなくて。


「ふうん。じゃあ、頑張って」


いきなり手を離した。


「ひゃあぁっ!?」


びっくりして、変な声が出た。普段のあたしじゃ考えられない声だったから、恥ずかしかった。ああ顔が熱い。


翔兄を見ると1人でスタスタと歩いていた。


コノヤロー。


恥ずかしかったけど、1人で持てる重さじゃなかったから、意を決して翔兄を呼んだ。


「しょ…翔兄っ!」


翔兄は止まって、振り向いた。


「……なに?」


ちょっと待て。なんでそこはかとなく笑ってやがる。楽しいか!楽しんでるのか!?


「な、なにって…その……」


あたしが言おうとしてること、分かってるよね!? この…S!



「早く言いなよ。じゃなきゃ、帰るよ」


確信犯っ! 余計顔が熱くなる。今のあたしは、きっとリンゴだ。


「荷物…って……」


声ちっさ! 自分でも分かる。今のは絶対小さい。


なんかもう恥ずかしすぎて翔兄の顔が見れない。


「なに言ってるの、聞こえない」


女は度胸! 言うのよ実景!


「荷物! 一緒に! もも、持ってよ」


「まったく、もっと素直になりなよ。かわいくないから」


そう言いながら、半分持つ。


「うるさい余計なお世話黙れ」


「あっそ。離すよ」


「だ、ダメっ! 離さないでよ」


あたしは、咄嗟に空いている手で翔兄の左手を押さえた。


「「………」」


え、なにこの沈黙。翔兄も、なにそんなに驚いてんの。


「……嘘だよ」


「~~っ、知ってるよ」


翔兄から手を離して、2人並んでスーパーから出る。


「ね、聞いて聞いて」


薄暗い道、あたしは翔兄に話し掛ける。


「?」


翔兄は、不思議そうにあたしを見る。


「数学の小テストで、あたし満点取ったんだ」


「……あり得ない」


翔兄はすっごい目を丸くさせた。


「アリエナイなんてことはアリエナイ。だよ」


ニヤリ、と笑ってみせる。


「なにがあったんだい?」


「占いで1位だった」


「……」


しばらく黙ったあと、長い長いため息をついた。


「さすが、僕の妹だけあるよ」


「そうでしょ……!?」


いきなり翔兄が頭に手を置いて、ちょっとしてから離した。


(薄暗くて、よかった…)


なんて思ってると、誰かとぶつかった。


「いってえぇ」


ぶつかった相手の声が聞こえた。絶対痛くないだろ。


翔兄を見てみる。うわっ、顔恐いよ。


「おいおい、大丈夫かよ?」


大丈夫に決まってんだろ。つか、痛くないし。擦ったぐらいだろうよ。


「やっべ、これ骨折れたな」


「大変じゃねぇか」


「慰謝料くれよぉ、病院行ってくっから」


「そっちの彼氏さんは交通費な」


ぎゃははは、と3人の男は笑う。


「「………」」


あたしと翔兄は、数秒見つめ合った。


「おいおい、俺達無視でラブラブですかぁ?」


「お熱いねぇ」


「これだから最近の若いもんは……」


また、汚く笑う。


「あ、これあたしの兄だから」


「勝手に決めつけるの、やめてほしいね」


一瞬止まった笑い声は、またすぐに響いた。


「嘘はいけないぜぇ」


「それはアンタたちでしょ」


今度こそ、笑い声は止まった。


「あん? なんだって?」


「なに、君たち耳でも遠いの?」


今度は、あたしたちが笑う。


「骨折かあ…それは大変。あたしたちが連れていってあげるよ」


「もちろん、僕たちが払うよ。カネ」


男が一歩後ろに下がった。


「っ、生意気なガキだな…」


「やっちまえ!」


あたしに向かってきた1人の男に背負い投げを食らわせてやった。


がっ、と呻き、


「ね、聞いて聞いて」


薄暗い道、あたしは翔兄に話し掛ける。


「?」


翔兄は、不思議そうにあたしを見る。


「数学の小テストで、あたし満点取ったんだ」


「……あり得ない」


翔兄はすっごい目を丸くさせた。


「アリエナイなんてことはアリエナイ。だよ」


ニヤリ、と笑ってみせる。


「なにがあったんだい?」


「占いで1位だった」


「……」


しばらく黙ったあと、長い長いため息をついた。


「さすが、僕の妹だけあるよ」


「そうでしょ……!?」


いきなり翔兄が頭に手を置いて、ちょっとしてから離した。


(薄暗くて、よかった…)


なんて思ってると、誰かとぶつかった。


「いってえぇ」


ぶつかった相手の声が聞こえた。絶対痛くないだろ。


翔兄を見てみる。うわっ、顔恐いよ。


「おいおい、大丈夫かよ?」


大丈夫に決まってんだろ。つか、痛くないし。擦ったぐらいだろうよ。


「やっべ、これ骨折れたな」


「大変じゃねぇか」


「慰謝料くれよぉ、病院行ってくっから」


「そっちの彼氏さんは交通費な」


ぎゃははは、と3人の男は笑う。


「「………」」


あたしと翔兄は、数秒見つめ合った。


「おいおい、俺達無視でラブラブですかぁ?」


「お熱いねぇ」


「これだから最近の若いもんは……」


また、汚く笑う。


「あ、これあたしの兄だから」


「勝手に決めつけるの、やめてほしいね」


一瞬止まった笑い声は、またすぐに響いた。


「嘘はいけないぜぇ」


「それはアンタたちでしょ」


今度こそ、笑い声は止まった。


「あん? なんだって?」


「なに、君たち耳でも遠いの?」


「っ、生意気なガキだな…」


「やっちまえ!」


あたしに向かってきた1人の男に背負い投げを食らわせてやった。


がっ、と呻き、残りの男2人は驚いている。


「っンのクソガキィ!」


あたしにぶつかった方の男(以下男A)と、もう1人の男(以下男B)が殴りかかろうとしてきた。


「オレ達の家族に手ぇ出すとは…とんだ命知らずだなぁ?」


「ああ、まったくだ」


不意に、後ろから聞きなれた声が2つした。


「棗兄っ、醍哉!」


「なんでここにいるの?」


2人は、お互い帰り途中にバッタリ会ったんだって。


「なっ、なんだお前たち!?」


それは愚問ってヤツだよ、オニイサンたち。


「俺達は…家族だ!」


棗兄が代表して言った。


「あら、私たちはノケモノ? それはないんじゃない?」


「凛たちも、家族っ!」


また後ろを振り向くと、あず姉と凛もいた。


「なあに絡まれてんのよ。帰りが遅いから様子見にきたら…」


「みんなそろってる!」


いや、うん。絡まれたよ。揃ってるよ。でも、そこに――


「次から次へと…なんなんだよ!?」


と、男B。


「構わん! やっちまえ!!」


と、男Aがそれぞれ叫ぶ。


「なに、やる気? 上等だね。かかってきなよ」


翔兄、挑発するねぇ。


「オレがまとめて相手してやるよ」


醍哉も言うねぇ。


なんて呑気なことを考えてたら、また違う声が聞こえた。


「ちょいと、アンタたち藍堂さんの子だよねぇ!? なに、絡まれてるのかい?」


「田中のおばさん!」


あず姉が、口元を抑えながら言う。てか、相変わらず声大きいなぁ。


田中のおばさんは、あたしたち藍堂家の隣に住んでる優しい人。よく煮物とかを作って持ってきてくれる。これが美味。


「ちょっとちょっと、大丈夫かい?」


田中のおばさんは買い物帰りらしい。あたしと同じスーパーの袋を提げていた。


「大じょ……」


「なんだって!? 藍堂の子供だちが絡まれてる!?」


「裕次おっちゃん!」


てやんでい!とか言いながらあたしたちに近づいて来るのは、魚屋の佐久間裕次おじさん。みんなは裕次おっちゃんって呼んでる。


「なんだんだ?」


「なにか事件でもあったのか!?」


「あれ、実景じゃん! ちょっと、大丈夫?」


「醍哉後輩じゃねーか。どうした、なにがあった?」


と、わらわらと色んな人が集まってくる。


男AとBを見る。かわいそうに。完全にビビってるよ。2人で抱き合ってるし。


あたしたちは、かくかくしかじかで~とみんなに事情説明。それを聞いたみんなは、男たちを責める。


「…アンタたら、この子たちのこと知らないのかい?」


田中のおばさんが男たちに聞く。


「しししし、知らねーよっ!」


「俺たちは、藍堂家だ」


棗兄が胸をはって言う。


「藍堂家って…まさかっ……!」


男たちは顔を蒼白にする。そのまさかだよ、オニイサンたち。他の地域にも言い伝えとかあるでしょ。


“藍堂家には近づくな・絡むな・逆らうな”


あたしたちに痛い目を遭わされた人たちが口を揃えて言うこと。それが広まり、不良や暴力団やらに恐れられてる…らしい。ここ数年でそういった数が激減したそうな。


トドメに、こう言ってやる。


「分かったらさぁ、謝ってくれないかな?」


「ひぃぃぃっ!!!」


「す、すいませんでしたあぁっ」


男AとBはCを抱えて逃げていった。


一件落着。


その後はまあ、みんなとちょっと話して各々解散となり、最後に残ったのはあたしたち藍堂家。みんな、黙ってお互いを見る。


「…ぷっ」


なんかおかしくなって…あたしは笑った。吊られたように、みんなも笑い出す。


「帰ろ。あたしたちの家に」


翔兄に荷物半分持たせる。嫌がってたけど、ちゃんと持ってくれた。荷物は、すっごく軽かった。翔兄の方が身長あるからかもだけど…やっぱり、優しい。


みんなで馬鹿やりながら、帰宅。夕食の時間も、笑いが絶えなかった。


なんだかんだ言って、みんながみんな好きなんだ。


あたしはベッドに入りながら、改めてみんながいてよかったと思った。好きだと思った。


(たまには占い、信じていいかも……)


あたしがニュースの占いに感謝したのは、秘密って方向で。





★つづく★



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