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8/10

8☆とある次女の学校生活


な、長くなりましたorz←いろんな意味で


気長に読んでください。


家事当番のない日のあたし――藍堂実景――は、7時30分に起きる。


「まだ眠いっつーに…」


起きて、必ず悪態をつく。眠いから。


もそもそとベッドから降りて、改造しまくった制服に腕を通す。


着替え終わると、今日の学校の準備をする。といっても、教科書類はすべて置き勉。いちいち持って帰るの面倒だし。学校で出された宿題やら、授業で使う特別なものを詰め込む。


スクールバックを持ち、いつもならここでフルートも持つ。


「……壊されたんだった」


昨日起こったアクシデントを思い返すと、我が藍堂家の馬鹿さに思わず笑みがこぼれる。


「新しいの買ってもらえるからいっか」


階段を降り、リビングに入ると翔兄と凜以外は揃ってた。


……いつものことだけど。


最近、藍堂家では特別な用事がないかぎり、食事は一緒にとるようにしている。


「おい、誰か2人叩き起こしてこいよ。 飯食えねぇじゃん」


銀色に染めた髪を掻き上げ、醍哉が言う。相変わらずの不良っぷりで。


「凜を叩くのはいけすかないな」


メガネのブリッジをあげながら、棗兄が立つ。うん。こっちも相変わらずのシスコンっぷりで。


「朝っぱらからキショイのよ」


「あず姉、いつものこといつものこと」


棗兄に掴みかかろうとするあず姉を、あたしが止める。


りぃぃん! 今からお兄ちゃんがお越しに行くからな!とか叫びながら階段を上がっていく棗兄。


相変わらずいい迷惑だよ。


「……翔太は誰がお越しに行くのよ?」


「あず姉が行ってこいよ」


「今年になってから、まだ翔兄も凜も起こしてないじゃん」


梓姉は舌打ちをし、「しょうがないわね…」とか言いながら凛を起こしに行った。別にしょうがなくないよね?そうだよね?


「あず姉ってよぉ、」


「うん?」


「セコイよな」


「うん」


そんな会話をしてたら、棗兄と凜が手を繋いでリビングに入ってきた。


「あう……ぉはよ」


「おはよ、凜」


「はよ」


相変わらず眠そ…いや、寝てる。さすが眠り姫。その名は伊達じゃない。


「きゃああぁあああぁぁあ!!!!」


「お、翔太が起きたな」


数分後、超不機嫌なあず姉と翔兄も交えて食事。


翔兄曰く、梓姉の起こし方は駄目らしい。


「誰の起こし方がいいのよ?」


「姉貴以外」


どこが違うのかあたしにはさっぱり。


この言葉にちょっとだけあず姉傷ついたのはいうまでもない。


棗兄たちは先に学校へ行く。で、あたしと醍哉は一緒に登校。歩いて5分のところに学校があり、あたしたちはいつもギリギリまで家にいるから、自然と同じになる。


「今日の占い、あたし1位じゃん」


なんかいいことあるかも程度ですます。だって過度に信じちゃって、後で悪いことがあったらイヤじゃん。占いは、参考程度が丁度いいと思う。


「俺は7位。……ビミョー」


ニュース番組の占いを見てから登校。あたしと醍哉の日課。


「戸締まりは?」


「やったぜ」


「部活休むから鍵はあたしがやっとく」


フルート壊れて練習できないしね。


「よろしく。じゃあ俺は鍵持ってかないから」


いや、一応持ってけよ。


8時20分。あたしと醍哉、登校。


一歩外を出ると藍堂家全員は注目の的。ここらの地域では藍堂家を知らないものはいないくらい有名。あ、これ?あたしのダチ情報。


あたしと醍哉も例外じゃないっぽい。2人並んで登校すれば、自然と道が開くから。


これって一種のいじめ? うん。違うよね。恐がってるだけだよね。でもあたしたちは周りに害を及ぼさない人間だし。向こうが勝手にあたしたちは不良で恐くてすぐ暴力ふるうって思い込んでる。そんなことしないのに。人は見かけによらないっていうし。


あ、醍哉も同じこと考えてるな。少し不機嫌そうな顔してる。


まあ、そんなかんじで学校に着いた。1年と2年の下駄箱は一緒だから、まだ醍哉と一緒。


「あ゛」


「あんだよ」


「しょっぱなから数学だ!」


「そりゃあ、よかったな。小テストあんだろ?満点取ってこいよ」


「無理。あたし死ぬから」


「はっ! 死ぬもんか。今日のみぃなら出来ると思うぜ? 1位だろ?」


「そ、そんな都合のいい話……」


「俺、日直だから教室行くわ」


じゃっ、と軽く手を挙げて先に行った。……絶対無理。


あたしは持ったままでいた上履きを下に落として、踵を踏んだまま階段を上った。


ガララ――


あたしが教室に入ると、一瞬静かになる。一瞬だけ。で、その後はまたガヤガヤと笑い声とか響く。なんだかなあ。


「おっす実景、おはよ」


「今日も弟クンと登校? 相変わらず仲いいね」


元気に挨拶してくんのはあたしの一番のダチ、湶玲奈いずみれな若谷遥わかやはるか


「おはよ。あたしと醍哉って仲良さうに見えるわけ?」


「は? 何、今更」


映画のパンフから目を離して、玲奈があたしに言う。


今更ってなに、今更って。


「仲いいよ? 昼休みだってしょっちゅうバスケとかしてるじゃない」


唯一の常識人のハルからそういわれると、なんか反論できない。


「2人も一緒にやるじゃん」


「「実景に誘われてるから」」


……そんなハモらんでもいいよ。


「はい、席着けぇ~」


出席簿をひらひらさせながら担任の緑川(40歳男、理科担当)が入ってきた。


「せんせ~!おはようございます~」


「なんだよ、朝っぱらからうるせぇな、山元」


山元隆輝やまもとりゅうき。このクラスの…中心的存在? なんかいつもヘラヘラしてる。


「それほどでも~」


「山元、それ褒められてないぞ」


あたしの隣でこう言ったのが水井泰明みずいやすあき。山元とツルんでる。


山元と水井のことを、みんなは“ヤマミズ”って呼んでる。


ちなみにあたしら3人は“凸凹トリオ”って呼ばれてる。あたしは不良(周りの人曰く)、玲奈はギャル、ハルは大人しめ系だかららしい。


気が付いたら一緒に話して笑ってたよ、うん。


「まったくもってその通りだ」


と、担任の緑川。まあ、そこでクラスは笑いに包まれる。 あたし? あたしは棗兄から届いたメールを読んでる。


(……え、今日の買い物当番変われ? 実景のことが大す……)


ばっ、馬鹿兄!! なんでこんなははは恥ずかしいこと言えるんだ!? あ、醍哉もか。


「だ、誰がやるか馬鹿兄ぃ!」


「藍堂、これで何回目だ? 携帯電話がこっちに飛んでくるのは」


「覚えてないしっ! それより先生、急遽買い物当番になったんだけど、どーゆうこと!?」


「知るか。とりあえず携帯は没収な」


「数字の小テストで満点取ったら返してよ」


「取れなかったら原稿用紙3枚の反省文な」


臨むとこ! 朝の占いを今日だけ信じることにした。




「え~、なんと小テストで満点が3人いるんだな。いつもより若干1人多い」


今は数学の時間。もう5分もしたらチャイムが鳴る。なんか無性に帰りたい気分なんだけど!


「まあ、いつも通り満点は須佐と橋本」


須佐涼太すさりょうた。このクラスの学級委員長。みんなから頼りにされてる、優しくて判断力のあるヤツ。頭がいい。


もう1人の満点者が橋本弥貴はしもとみき。学級副委員長。ちょっと口悪いけど周りのことをよく見て、行動力がある。わりと好きなキャラだったりする。


んで、須佐と弥貴ちゃんはお互い競い合ってる。っつーか、お互いライバル…?って思ってる。テストの成績とか、学級委員としての仕事とか、学校行事とか。


「「………」」


あ、2人睨み合ってる。


「で~、もう1人の満点者なのだが…驚くなよ」


なに、その前フリ。


「なんと……なんとなんと! 藍堂実景!!」


驚くなっつーほうが無理だね、先生。だってクラス全員めっちゃ驚いて声あげてる。


「あ、まじっすか? いやぁ、今日占いであたし1位だったもんで」


やったね。あたし今日ツイてるよ!


「どぉした藍堂? お前が満点なんてこの世から酸素がなくなるくらいスゲェぞ」


「先生、その例え方はひどすぎだと思います。あたしだってやるときはやりますよ」


「先生、さっき実景が占いのおかげだとか言ってた!」


あ、このヤロー。勝手に言うんじゃないよ玲奈。


「そんな都合のいい話あるわけないだろ」


「空欄を適当に埋めただけですぅ」


先生は長い溜息をついた。でも事実だしね。適当にそれっぽい答え書いたら全部当たってた。すごいね、あたし。




「ほら、言ったろ? 今日のみぃなら満点取れるってな」


今は昼休み。あたしのダチと醍哉のダチでバスケ中。あ、ハルは応援係り。あたしら3人以外の前だと引っ込み思案になるから。ちなみに弥貴ちゃんとそのダチもいる。


「なんの根拠があって…まあ、もう一生ないと思うけどね…っと」


醍哉がパスを受け取る前に、あたしがカット。


「ささ!」


「ん」


あたしは、弥貴ちゃんのダチのささ――佐々木優子――にパス。醍哉に鼻で笑ってやった。


ささはドリブルしてゴール前まで言ったけど、醍哉のダチAとB(名前わかんない)に囲まれて弥貴ちゃんにパス。弥貴ちゃんは受け取ってすぐ玲奈にパスしてシュート。


ボールはしばらくゴールの縁んとこでくるくる回って、ポスッと入った。


「玲奈ちゃんスゴイ!」


ハルが拍手し、ピースをして応える。


「あの黒髪の子、かわいいよな。前から思ってた」


「ハルのこと? 醍哉、手出したら殺すから」


まさか、と言って笑いながら醍哉のダチAたちの方に近づく。


その後は醍哉チームがゴールを決め、引き分けになった。いい汗かいたわ。


午後の授業は理科。


「先生! 数学の小テストで満点とりました」


「おー、知ってるぞ。職員室で話題になったからな」


そんなに?


「こんなことは今回だけだな」


とか言いながらあたしの携帯返してもらった。


授業は真面目に受けてる。受けてるけど他のこともやってる。例えば…今みたいに、玲奈と授業中にメールとか。メールは大抵玲奈からくる。


んで、チョークが飛んでくる。あたしはさっとかわす。チョークは玲奈のおでこに当たる。毎度毎度痛そう。そして、クラスメイトの笑い声が響く。


こんな馬鹿やってると、授業が終わるのは早くて。気がついたら教室にはあたし1人だけ。みんな部活やらでいない。


あたしのクラスはみんな元気。いじめとか一切ない。みんな平等。仲良し。担任も悪くない。馬鹿。でもあったかい。落ち着く。


それが、2年2組!


うん、と1回頷く。スクールバッグを持って、教室を出た。






9話に続きます!


こんなに長くなるとは思わなかったZE☆



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