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10☆呪いメールは津田先生から



相変わらずぐだぐだしてます←


書いてる友加も

これでいいのか…?と自問自答





今は夕食の時間。


あれ取れやそれ取れや自分で取れ馬鹿ヤローと、いつも通りの時間を6人で過ごしていた。


「あ。あのねあのね」


何かを思い出したように、凛がみんなに話しかける。


「じゅぎょーさんかんがあるんだって!」


と笑顔で言う。


「ふむ。授業参観か…いつあるんだ?」


(学校あっても絶対行く気だ)


実景はそう確信する。


「えっとねぇ…明日!」


「ブーーーっ!!」


まさか明日だと思わなく、あまりにも急で、棗吾が盛大に吹いた。


棗吾の前に座っていた実景に被害が及ぶ。


「きゃああっ!?」


「女子の悲鳴だね」


左隣に座っている翔太の足を思いっきり踏む。


「かわいいじゃん」


右隣に座っている醍哉の足も思いっきり踏む。


2人が実景になにか言おうとしたとき、コップをわし掴みして中に入っている牛乳を棗吾にぶっかける。


「「………」」



翔太と醍哉は押し黙り、


「やるじゃない」


「みぃ姉ちゃ、すげぇ!」


梓と凛は感心している。


「…ねえ、なにか言うことあるでしょ?」


「わ…悪かったよ///」


「なんで赤くなってんの!?」


超ご機嫌ナナメな実景は、椅子から立ち上がり棗吾にアッパーカットを食らわせる。


お約束のようにメガネはふっ飛んで、右隣に座っている梓の味噌汁にダイブ。


チャポンッ


「私の味噌汁っ! ちょっと実景どうしてくれんのよ」


実景は振り返り、梓を見る。


「あのねあず姉。あたしの夕食見てよ。棗兄の吹いたのがかかってんの! それからホラっ。あたしの顔にもちょっと付着してんの」


言い返せなくなり、ぐっと押し黙る。


「で?“私の味噌汁”がなに?」


「なんでもないわよ…」


勝者、藍堂実景。





その後、今日の食器洗い当番を実景の代わりに棗吾やることで方がついた。


「……で、明日授業参観なんだろう?」


翔太が仕切りなおして凛に聞く。


「うん。明日!」


「その件だが――」


無駄に静かに、かっこつけて言うのは棗吾。


「全員強制参加! 拒否権は無しっ」


人差し指を突き出す。まったくきまっていない。


「やったぁ! みんな、来てくれるの?」


「はあ? オレたちがっこ…」


喜ぶ凛に対し、醍哉が否定しようとするが、棗吾に遮られる。


「そうだぞ。みぃんな行くからな!」


(なに言っちゃてんのぉ!?)


「あのね、凛。行きたいのは山々なんだけど…」


「りん、うれしぃ~!」


凛の無邪気な笑顔に、梓は勝つことができなかでた。


「あーもう! 行くわよ行ってやるわよ授業参観!!!」


もうヤケクソだ。


「僕は絶対行かないよ」


「オレも行かないぜ」


「あたしもぉ。つか、去年も全員強制参加だったじゃん」


否定する3人に、凛が近づく。


「来て、くれないの?」


「あたしも学校があるから……」


「でも、そう兄ちゃとあず姉ちゃは、来てくれるよ?」


「兄貴たちは…例外だよ」


「りんのこと……キライ、なの……?」


「誰もキライとは言ってないぜっ!?」


そして、凛は今までで一番輝かしい笑顔をつくる。


「じゃあ、来てね! りん、待ってるね!」


「「「………はい」」」


本日の教訓――凛の笑顔には、絶対逆らえない。





時は流れ、翌日の午後。凛の授業参観に今年も強制参加を迫られた哀れな4人は、それぞれ三崎小学校へと向かう。


実景と醍哉は一緒に行くことになったわけで。


「おーい! みぃ、行こうぜ」


今は昼休み。準備を終えた醍哉が実景を迎えに来た。三崎中と三崎小は歩いて5分で着けるため、ギリギリまでいれる。


「あれあれ? 実景、弟クンと逃避行!?」


「末永くお幸せに」


玲奈と遥だ。


「はあ!? なに言ってんの。違うから」


「とか言って~。実景ちゃんはツンデ……」


「じゃあねまた明日ね醍哉行くよ!」


醍哉の腕をとり、足早に教室を出て行く。


「……ツンデレなんだから」





三崎小に着き、凛のクラスの3年1組に入ると、凛にくっついてる棗吾とウンザリしている翔太と梓がいた。


「…兄貴、いい加減にしてくれない? その頭をかち割りたい」


そう言う翔太のまわりには子供が数人いた。


「凛の授業参観に来たくない一番の理由は棗吾なのに……」


あの人、りんちゃんのお姉ちゃんなんだって~! と言われては指をさされ、集まってくる。


子どもたちに慣れてきた梓は、人生について語りだした。挙げ句の果て、“あずさ先生”と呼ばれる始末。


「あら、藍堂さんこんにちは」


実景と醍哉に話し掛けてきたのは内山さん。凛の友達、内山りえのお母さんだ。


「久しぶりですね」


「ども」


「相変わらず元気ですね」


棗吾たちを見て、内山さんはうふふ、と笑う。


「まあ、うちの取り柄なんで」


「元気っつーか馬鹿だな」


「賑やかでいいですね。とてもいいことですよ」


なんて優しい笑顔で内山さんに言われれば、嬉しくないはずがなく――。


2人は顔を見合わせて、小さく笑った。


次第に保護者も集まってきて、子どもたちのテンションも上がる。


奥様たちは、藍堂家を見つけては挨拶をしてくる。藍堂家三原則があるのと、貸しがあるからだ。


「銀のかみの兄ちゃんだ!」


と言われたと思ったら、醍哉の頭になにか当たった。


「うぉっ!?」


「やーい、当たったあ!」


後ろを向くと、3人の少年たちが笑ってた。


「いい度胸じゃねぇか! おら、くらえっ」


コチョコチョコチョ――


「ギャハハハ! く、くすぐって~!」


かなりエンジョイしている。


「つんでれのお姉ちゃん!」


「ぶっ――!なななっ!?」


いきなり言われて吹いた。


「……誰に言われたのかなぁ?」


すると女の子は、ある1人の人物を指で指した。


「あのね、りんちゃんのお兄ちゃんがゆってた!」


「情報提供ありがとね」


女の子の頭を撫でてやると、嬉しそうに「どういたしまして!」と言う。


(かわいい…)


子どもを見てると、なんだか癒される。


「棗兄ぃぃ!!! 死ねぇぇぇ!!!!」


拳に力を込め、顔だとなんだかかわいそう(子どもたちの前だし)なので、腹をおもいっきり殴る。


「ぐおぉぉっ」


「棗兄さぁ、そんなに殺られたいの? どうなの?今すぐ殺ってあげようか!?」


ガッと胸ぐらを掴む。


「わわわ悪かった…!」


「悪いですむんだったら、この世に切腹なんていらないんだよ!」


騒ぎに気づいた梓たちは、実景をなだめるのに10分かかったとか。


実景が落ち着いたすぐ後に、凛の担任――津田洋子つだようこ――が入ってきた。


津田は、この春実家から上京してきたばかり。藍堂家のことも、あまり知らない。


「あら、若いのね。先生いくつ?」


平然と女の歳を聞くんじゃない。


「えっ!? えーと…?」


奥様たちに紛れ、まだ子どもの人物が5人いることに気付き、たじろぐ津田。


「なにさらっと年齢聞こうとしてるんだ。女性に失礼だろ」


と言うのはもちろん棗吾。凛の担任ということで、まあ紳士ぶってる。


(あら、かっこいい……)


面食いだった。


「い、いいんです。今年で25になります」


「「四捨五入したら三十路だね」」


翔太と実景が、同じことを言う。


「おい、あず姉より酷いぜ?」


醍哉が呆れたように言う。


「そうだぞ。まったく、お前らは思ったことをすぐ口にするから金魚なんだ」


「僕が金魚っていうなら、兄貴はフンコロガシだ」


「なんだと? 俺がフンコロガシなら、お前はピロリ菌だ」


「ちょっと、あたしはなんなの? ねぇ、あたしはなんなの?」


「「ミトコンドリア」」


「意味わかんない」


「黙りなさいよ。ガムテープで口を塞ぐわよ」


「お、今日授業で使ったガムテープあるぜ」


醍哉はガムテープを取り出し、梓に渡す。それで3人は静まるわけで。


子どもたちと奥様方は、藍堂家のやりとりを見て爆笑。1人ついていけない津田はえ?え?とオドオド。


「どうぞ先生、授業を始めてください」


「ははははい!」


と、梓に言われ授業開始。藍堂家に授業を妨害されるも、適応力の高い津田は、それはそれはおもしろおかしい授業になった。


授業の終わりには、藍堂家全員とアドレス交換なんてした。


「りんもケータイほしい!」


「凛ちゃんはまだ早いかな~」


ニコニコ顔で津田は言う。


「凛が欲しいなら、買ってあげよう!」


「ですよね~」


面食いな津田は、棗吾に弱い…っぽい。


「棗吾のを凛にあげればいいじゃない」


「じゃあ、アドレス帳変えとかなきゃね。棗兄から凛に」


「そして兄貴はキノコになる」


「翔兄は白血球になってろ」


「うふふふ」


こうして授業参観は幕を閉じた。




「津田先生は、よく藍堂さん家となかよくなれましたね」


今日会ったばかりなのに…と奥様A。


「はい。とても元気な子たちですね」


「知ってます?“藍堂家三原則”」


と奥様B。


「知りませんね。なんですか?」


その後、津田に藍堂家のことを話すだけ話して帰って行った奥様方。


教室に1人残された津田は、血眼でメールを打ち、一斉送信。ゲッソリしながら車をとばして帰っていった。





「津田先生からメールだ」


「せんせーから?」


「うん。僕にも届いてるよ」


「私もよ。醍哉は?」


「…届いてんな。なんなんだ?」


「よし、読み上げるぞ」



ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい(以下略)――…


「せんせーどうしてごめんなさいしてるの?」


「ぼ、僕に聞かれても……」


「どうしてかしらね?」


「あず姉、なんで笑ってんだよ!」


「ホラーじゃん! なにこれ、呪いのメール!? イヤだよあたし!」


「おおお落ち着けみんな! まずは酸素ボンベを装着するんだ」


謝られる理由が分からない藍堂家は、津田からのメールを“呪いのメール”としてフォルダ移動してロック、二度と読まないように封印した。





★つづく★




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