異世界転生してチーレム無双するはずが、試験!?
気がつくと、真っ白い空間に立っていた。いや、立っているという感覚は一切無い。
言葉にはできないような状態だった。無理矢理言葉にするのならば、自分という意識がただそこに存在している。そういった奇妙な感覚だ。
この白い空間には何もなかった。何もないというのは言葉通りの意味で一つも物はないし、影も、奥行きさえも存在しなかった。
「あなたに2つの選択肢を与えます。」
そんな声が突然響いた。その声がこの空間の中で響いたのか、自分の頭の中で響いたのか、理解ができなかった。
その声は幼いときに聞いたことのある懐かしさのようなものがありながらも、全く聞いたことのない怖さを感じさせる不可思議な声だった。
「選択肢とは、あなたが元いた世界とは異なる世界で新たなる生を受けるか、もしくはそれを断るかです。」
その話を聞いて、戸惑う事はなかった。何故かは分からないが、この空間では感情や、思考の動きに制限がかかってるような気がした。
「その、世界は一体どういう世界なんだ?」
「あなたが憧れた、剣と魔法のファンタジー世界に近いですね。そこであなたは所謂チート能力を手にして、その世界の平和を守るために戦って貰います。」
「なるほど、断る理由はないな。すぐにでも異世界に転生さしてくれ!」
「しかし、あなたがその役割を全うできるかどうかはわかりません。なので何人かの希望者から私が適正があるかどうか判断させてください。」
「判断ー?一体何をするんだ。」
「希望者全員に試験を受けていただきます。異世界転生適正能力判断試験です。」
「はあ。もしその試験に落ちたらどうなるんだ?」
「異世界転生適正能力判断試験に落ちたらあなたが元々いた世界の何かしらの生物に生まれ変わります。」
「何かしらって人間じゃないのかよ?」
「はい。どの生物になるかはわかりません。」
「マジか…」
「異世界転生適正能力判断試験を受けますか?」
「まあ、ダニとかにはなりたくないからな。受けるよ」
「受理されました。受験者番号3068番、上村翔さん、試験実施世界に転送します。あなたのご活躍期待しております。頑張って下さい。」
それから気がついたら俺は全く知らない世界に飛ばされていた。周りを見渡すとここは森だった。全く人の手が届いていない純粋なる森だった。
「ここどこ?」