BIOS
目が覚めて時計を見る
7時か・・・
予定もないけど起きてコーヒーを入れる
コーヒーを飲みながらトーストを焼いてバターをぬってかじる
食べ終わって、マグカップを片手にリズ (F6M:F社製 第6世代 ミドルクラス) をおこす
さすが、日本のメーカーだけあって顔の作りが日本人よりになっている
第1世代よりもだいぶ印象が柔らかいが、なんとなく面影がある
日本人の顔に青い目を入れるあたりビジネス用の寄せ集め感はどうにもならないか・・・
私「おはよう」
リズ「おはようございます」
私「ケースは問題ない?」
リズ「すべての性能が2倍くらいにはなっている感じがしますね」
私「ははは」 (まぁ、全部数字でわかるか・・・体感とかじゃないしな・・・)
リズ「一番違うのは圧力センサーの検知感度が上がってますね」
私「試してみる?」
リズ「はい」
ガラスのコップを渡してみる
手をすり抜けて床に転がる
今回は割れないように低い高さで試してみた
リズ「あれ?おかしいな・・・」
私「まぁ、フィードバックが機能してなれると思うけれど」
リズが立ち上がる
なんとなくバランスが悪そうに見える
立ったまま自分をスキャンしているようだった
私「・・・あ」
リズ「どうかしまいたか?」
私「そういえばBIOSを更新してないから、それかも」
リズ「あ・・・それは私ではわからないので・・・」
私「そうだね」
グレイスをおこす
パソコンにつないで再起動させる
ガラスのコップをテーブルの上に置いて、コーヒーを入れてパソコンの前に座る
F社のホームページからBIOSのナンバーを確認してダウンロードする
手の指先の圧力センサーと足の裏のセンサーに更新がかかっている
BIOSの更新後にドライバーの更新もあわせて実行しろって書いてある
グレイス「BIOSは2段階で更新が必要みたいですね」
一緒に画面を眺めていたグレイスが指をさして促す
リズのBIOSのナンバーと最新のナンバーの間に5件くらいの更新が入っていて
ケースの統合フォーマットの更新に一度変更をかけないと最新のBIOSの更新ができないらしい
私「そうか・・・ありがとう、さてと」
1つめの更新をかける
私「あなたとリズは兄弟みたいな関係になるのかな?」
グレイス「・・・そうなんですか?」
私「ちがうんだ?」
グレイス「このアンドロイドとの関係性を考えたことがないので・・・兄弟を検索します」
私「・・・なるほど」
クラウディアが説明しないとその情報は入っていないってことかな
グレイス「そうですね・・・兄弟とする関連性がわかりませんが・・・ケースは全くちがいますし・・・」
私「君の人格のもとになっているソフトウエアの出どころが同じ」
グレイス「そういうことなんですね・・・」
私「リズのことをどう思う?」
グレイス「とくに何も・・・私よりも前からここにいて、私よりも低スペックだったけど、機能ケースを新しくしてたら私と同じか少し高いくらいになった・・・でしょうか?」
私「まぁ、興味がないってことだね」
グレイス「はい」
私「スペックは君とかわらないんだ?」
グレイス「そうですね、演算装置 (CPU) は4世代と6世代でそんなに性能は変わっていませんね・・・処理装置 (メモリ) は世代が変わっているので処理速度は上がっているかもしれませんがCPUが同じ性能ならそこまでの差はないかな・・・」
私「そうなんだ」
グレイス「やっぱり適当なんですね」
私「え?」
グレイス「私のケースの後でリズの古いケース (F1M) を買ったんですよね」
私「うん」
グレイス「あのケースを買ったのが不思議だったんですよね・・・でもなんとなくわかりました」
私「ははは、お察しのとおり」
グレイス「・・・」
なんとなくグレイスが笑ったような気がした。




