勘違い7。プロローグ
「今の発言、しっかりと聞かせて頂きましたよ」
「「「っ!ティーティア様!?」」」
ぬっと現れたティーティアちゃん。さっきから、ずっと主人公君達の後ろに立ってたんだよねぇ。ティーティアちゃんへの悪口は本人にも聞かれたし、それ以外にも聞いたギャラリーは沢山。言い逃れは出来なさそうだね。
「不敬罪で逮捕させてもらいます。騎士達よ、やりなさい」
「「「はっ!」」」
ティーティアちゃんの身辺警護をする騎士達が、主人公君達を拘束していく。ここで主人公君は仲間をかばうのかな?それとも、仲間にかばってもらうのかな?どっちでもゲームの始まりではあり得るよね。復讐の原因となる事件みたいな感じで。
「は、離せ!ボクチンは公爵家だぞ!」
「公爵家は王家よりも格が低いですよ。……連れて行きなさい」
「やめろぉぉぉ!!!離せぇぇぇ!!!引きずるなぁぁぁ!!!!!!」
そんな叫びもむなしく、主人公君達は騎士達に引きずられていった。これで問題解決かな。
「スフレちゃん。貴族のゴタゴタは僕が相手するから、戻って良いよ」
「え?でも」
「大丈夫。ティーティアちゃんは僕の知り合いだから、お礼とかは言っておくよ」
「……ん。任せた」
数秒悩んだけど、僕に任せてスフレちゃんはその場を去った。残ったのは僕とティーティアちゃんとギャラリー。ギャラリーって言うか野次馬って言うかだけど。
「シット君。数日ぶりですね」
「うん。元気だった?」
「元気でしたよ。シット君も元気だったみたいですね」
僕がバグラーとして盗賊やってるのは知られてるからね。僕が元気に活動したのは知ってるでしょ。勿論他の部分でも、推測できるところはあるだろうけど。
「私を放ったらかしにしておいて、他の女の子を引っかけてるなんて。シット君もひどい人ですね」
「えぇ~。ティーティアちゃんだって僕のこと放ったらかしにしてたじゃん。忙しかったのはティーティアちゃんの方でしょ」
ティーティアちゃんは不満そうにしてるけど、流石にそこを責められるのは違うと思う。僕の反論でティーティアちゃんは更に不満そうな顔をして、
「それでも待ってくれれば良いじゃないですか。ちょっと時間が空いたときに相手くらい出来ましたよぉ」
「そう言われたから言葉通りに待った3年前の僕は、1週間放置されたんだけどね。あのときのお城の人たちの迷惑そうな顔は今でも忘れられないよ」
「うっ!」
痛いところを突かれたとでも言いたげな顔をするティーティアちゃん。あのときは本当にストレスだったんだからね。悪役だから迷惑をかけるのは当たり前って開き直らなかったら滅入ってたかもしれないよ。
「忙しいのは分かるけど、たまには休みも入れなよ。身体壊しちゃったら大変なんだから」
「分かってますよぉ。でも、大事な時期なんですぅ……」
疲れたように下を向くティーティアちゃん。手間の掛かる子だねぇ。
……と、野次馬の数が更に増えてきちゃってる。ここは抜け出した方が良さそう。
「そろそろ僕は戻るよ。ティーティアちゃんもがんばって」
「あぁ。もう行ってしまうのですか?もっとお話ししたかったのに。今度お茶に誘いますから、来て下さいね」
「分かってるよ」
僕はそれだけ答えて、野次馬の中に突入。混み合ってるから、誰も僕を追いかけていることは出来ない。
いやぁ~。でも、ここで本編開始かぁ。感慨深いものがあるねぇ。……主人公君の覚醒を楽しみに待つとしようか。
なんと言ったって僕は、悪役なんだから。
《女神視点》
「……ゲームの悪役が、登校初日で捕まるという大事件」
「あっ。やっぱりあのキモデブな男の子は悪役だったんですね」
主人公は主人公であることを自覚しないまま、悪役を打ち倒していた。彼の運命の先は、悪役なのか、それとも……。
『悪役転生と女神に言われて信じているが、実際は主人公へ転生してる話 女神「原作主人公超えてるんだけど!?」』 《完》
この作品は一旦ここで終了です!
この作品の他にも同じような短さの作品を投稿しているので、作者のページから「長編化予備群」のシリーズを覗いて頂ければ!!
人気があった作品は長編化します。勿論この作品も……チラチラッ(ブックマークや☆をつけて頂ければ、続きが書かれるかも……
すでに
美少女部下が天才過ぎるので自由にさせてみました ~責任は僕が持つと言ったら目茶苦茶なつかれたんですけど?~
を投稿しています。
また、1時間後には
魔法少女を慰めてたら一線越えちゃった……てへぺろっ
が投稿される予定です。こちらも宜しくお願いします!