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勘違い5。悪役の仕事

「ペット。やらない」


「うん。大丈夫だよぉ。昨日聞いたからもう分かってるって」


ペットの次の日は、メイド服を着させて家事をしてもらってる。昨日のが相当精神的にきたみたいで、死んだ魚みたいな目をしてた。

目が死んだクール系狐耳メイド。……いいね!悪役の側に置いておくのに、割と適した人材じゃない?


「……でも、家事もきつい」


「分かる。僕も屋敷を1人で掃除するのは大変だった」


スフレちゃんは、家事をするのは家事をするので疲れてた。1日中屋敷の掃除では駆け回ってたからね。しかも、その合間に僕たちのご飯も創らなければならないというハードワーク。労働基準法にはバリバリに違反してますね。はい。


「じゃあ、身体が疲れちゃったスフレちゃんは、今日の夜はすぐ気絶しちゃうかな?」


「……くっ。こんな方法で弱くなるほど、獣人は弱くない!」


なんか、スフレちゃんは変なところに獣人の誇りを持ってるよね。僕は楽しめるから良いんだけどさ。

さぁ。楽しも楽しも。今日はメイド服のスフレちゃんを襲っちゃうぞぉ。やっっふぅ~い。



《女神視点》

「あれ、着て」


「すでに着ております」


天界で、メイド服を着た天使が現れたとか。そして、女神に激しく汚されたとか。



《シット視点》

「どっちも無理。シットの仕事手伝う」


スフレちゃんは今日も死んだ魚みたいな目をしていた。一昨日は精神的に疲れて、昨日は肉体的に疲れた感じだね。3つ目の選択肢に飛びつきたくなるのも分かるよ。

でもね、


「僕の仕事手伝うのは変更できなくなるからね。もしかしたら、今まで以上に辛いかもしれないよ。そこをちゃんと考えてよ」


「分かってる」


ふてくされたようにしながらも、スフレちゃんは頷く。2日連続で仕事してもらったから、今日はお休みだよ。しっかり休んで仕事の疲れを癒やしてもらおうか。


「……でも、どっちも続けてたら身体壊しそう」


「ペットの方は大丈夫だと思うよ。相当メンタルはやられると思うけど、暫くやれば羞恥心とか無くなるから。僕に頭を撫でられたら「ワンッ!」って言える日がすぐに来るよ」


「そんな日は来なくていい」


そう言いって、両手で耳を塞い机に突っ伏した。思い出して羞恥心がこみ上げてきたらしい。あと、新しい扉が開きそうになるのを必死で押さえ込んでるのかな?

僕としては開いてもらって全然OKなんだけど。変態美少女どんと来い!だよ。


「やっぱり、シットの手伝いする」


暫く突っ伏して回復したのか、それとも気を紛らわせたいのか。スフレちゃんはそう言ってきた。

ちょっと判断が軽率すぎる気がするけど。


「どうせ辛いのは同じ」


「いや。……まぁ。そうかもしれないけどさぁ。辛さの種類ってものがあるじゃん」


「これ以上辛いことはない。……たぶん」


流石に絶対無いとは言い切れないよね。精神的疲労も肉体的疲労も、やる仕事によってはもっと溜まるだろうし。ひどい奴隷の扱いをするところだと、1日持てば良い方なんて言う話も聞いたことがあるよ。


「……はぁ。仕方ない。明日の昼、お仕事に行こうか」


「ん」


「仕事始めたらもう変更は出来ないからね。やっぱりやめたいと思ったら昼前までに絶対に言ってね」


「ん」


頷くスフレちゃん。でも、結局次の日のお昼になっても何も言われることはなかった。ベットの上でも沢山聞いたけど、やめることはなかった。……え?激しすぎて会話は覚えてないって?

なんてやりとりをしながらスフレちゃんを連れ出して、外に出る。


「魔法を使うから、ビックリしないでね?」


「ん」


最近返事が「ん」ばっかりになってる気がする。スフレちゃんは無口系だから、そういうものなのかもしれないけど。

僕はスフレちゃんの反応を考えながら魔法を発動する。僕が使うのは、


「『テレポート』」


「……ふぇっ!?」


一瞬で周りの景色が変わる。僕や転移魔法を使ったの。スフレちゃんは肩をびくりと震わせて、変な声を出した。

転移魔法は結構珍しいから驚くよね。「ふぇっ!?」だってさ。可愛いかったなぁ~。

僕はそんなスフレちゃんに、ビックリしないでって言ったじゃん。みたいな視線を送る。僕の視線を受けてスフレちゃんは不満げに頬を膨らませた。


「どこ?」


不満そうにしながら現在地を尋ねてくるスフレちゃん。辺りには人が多くて、露天のようなものが沢山。活気が溢れているように見える。

でも景色だけじゃ、ここがどこか分からないよねぇ。


「ここはレクリアールっていう都市だよ。そこそこ発展していて、商業が盛んな所だね、そしてあそこのお城が、領主の貴族の住んでるところだよ」


「おぉ。お城」


巨大な城を見て、スフレちゃんは目を輝かせた。基本的に感情の変化は乏しいんだけど、暫く一緒に過ごしてちょっとは表情が分かるようになったよ。

スフレちゃんはまだお城を眺めて固まっているから、肩を通知手(肩を叩いて?)僕に意識を向けさせる。そして小声で、


「じゃあ、あのお城にお仕事しに行くよ。準備するから付いてきて」


「…………え?」

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