表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

S or M

作者: 長万部三郎太

「どっちかって言われたらSだな、俺は」


「いやぁ、先輩はMでしょう。だって……」


男だらけの飲み会は決まってこのような話題に終始しがちだ。

そこに遅れてきた女性陣が加わると、会話の内容はより混迷を極める。


「私はSだけど?」


淡い恋心を抱いている女性スタッフの衝撃発言に、わたしは聞き耳を立てた。

アルコールの援護射撃もあって、妄想が加速する。


「へぇ~。そうは見えないですよ」


座席を少し移動し、話題に加わったものの何か様子がおかしい。

明らかに彼女の機嫌が悪そうなのだ。


「……例えばだけど、状況によってSかMになったりするとか?」


程よく酔いが回った先輩がギリギリを攻める。コンプラが厳しくなった昨今、わたしはそれ以上つっこまずに戦況を見守ることにした。


「ずっとよ。中学……もっと前からS。変わってないし、変えるつもりもないわ」


すかさず先輩が追撃をかける。


「でも、時々Mっぽいところもあったりするじゃないですか」


ドン! と、ジョッキをテーブルに置いた彼女は、怒気を強めてこう言った。



「失礼ね! 私はずっとこの体型を維持してるの。

 服はいつもSを買ってるし、太る予定もないわ!!」



テーブルを囲っていた一同が黙り込む。


途中から話が理解できていたわたしは、スマホをいじるフリに必死だった。




(筆休めシリーズ『S or M』 おわり)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ