第12話
夜から朝へ
窓から太陽の光が差し込み始めた時間帯、俺の意識はだんだんと覚醒していく
・・・ああ、二人に追いかけられたその後の話は無しだ。俺の情けない話なんて語っても面白くなかろうて
「ん~・・・・・・、どんなに良いベッドでも慣れないと熟睡できないな」
首を左右に動かすと、ポキッポキと音が鳴る
コレをやると首が太くなると聞いたが本当なのだろうか・・・
そんなことはどうでもいいか
ベッドからでて辺りを見渡す、壁にかかった制服と見慣れない部屋、自分が魔法学院に来たことを自覚させた
・・・・・・ん?アレは・・・ダイニングキッチンじゃないか、なぜ今気付いた部屋の半分が変わったんだぞ?朝だからか?
自問自答をしながら寝巻きを脱ぎ征服に着替える、元の世界で着ていた制服より若干重みを感じる。
せっかくカタログで頼んだキッチンだ使わないなんてもったいない、今日の朝食は自分で用意するか
材料を確認するため冷蔵庫に限りなく近い冷蔵庫(電気では無く魔石で冷やしてます、名前に関してはまったく同じ『冷蔵庫』だ)を覗く、すると中には紙切れが一つ
「食材が入ってるとでも思ったの?バカなの?」と書いてある・・・十中八九、カタログの奴と同じだろう。
俺をバカにしているのか?
最後の行に食材を何処で貰うか書いてあった・・・ははぁ~んツンデレ?
まぁいいさ、さて食堂に行って食材を分けてもらおう
・・・・・・
食堂「キッチン」での会話
まだ朝食には早い時間帯、コックさん達はのんびりと支度をしている
「すいません、食材を分けてもらえませんか?」
「ん?おぉ若いの、生徒さんがこんな所に来るなんて珍しいな」
奥から出てきたのは図体が大きく、髭を生やした50代が出てきた。
「朝食を作ろうと思ったのですが食材が無く・・・、ここに来れば貰える聞き」
「ほぉ~驚いた、若いのに自炊か!うん、うん気に入った。おめぇさん、好きなときにココから持ってきな!」
「ほんとですか!ありがとうございます。じゃぁこれとこれと・・・」
ざっと一週間分の量、それをかごに入れてもらう
「ありがとうございました、無くなったらまた来ますね」
「おう!どんどん来い、たまには俺達の料理も食ってくれよ?」
「了解です」
かごを両手で抱えて部屋に戻る
途中ですれ違う人たちに異様な目を向けられたが無視だ
・・・・・・
「よっこいしょ」
テーブルにかご置き中の材料を確認する、とくに割れやすい卵
「異常なし、今日の朝食はトースト、オムレツ、ベーコン炒め、サラダ・・・」
「あと、コーヒーもお願いするよ」
「了解・・・、え?」
振り返ると メロリア・ウォ・ダディアン ことメロリアさんが居た。
よく考えたら年齢は一緒なんだよな
「いつから居ましたら?」
「ふふ、君がそれを抱えて歩いてるところをずっと付いてきたよ」
何ですと!ならあの視線はメロリアさんが後ろに居たからか
「そう考えるのが打倒かな?」
「打倒かな?、じゃないですよ。何だって男子寮までついてきたんですか!心も読まれたし」
「好奇心だよ、シュウゴ君」
来てしまったんだ、今更うだうだ言っても帰ってくれる人ではなさそうだ。
「メロリアさん、パン何枚食べます」
「・・・、ふふふ一枚頂こうか」
「了解」
さくさくっと料理中・・・・
「お待たせしました」
「ありがとう、いただくとするよ」
どうぞ、と一声掛けて自分も食べようと手を合わせると視線を感じる
「どかしました?」
「その「手を合わせる」行動には何を表してるのかと少し気になってね」
と言ったメロリアさんも俺にマネて手を合わせる、さてどう説明したものか。もと居た世界で~なんて言ったら、さらに説明しなくちゃならない
ココは自分が考えた事にするか
「あ~、これにはですね大雑把に言うと『命への感謝』を表したものです。ほらこのトマト、加工される前は命ある植物、この卵も、ベーコンだって。
俺達が生きるためにつむいだ命なんだから、大切に美味しくいただきますと感謝の意を表して手を合わせて「いただきます」食べ終わったら「いただきました」
・・・てね」
おぉうふ、偉そうに言ってしまった
「・・・君には感心させられたよ、朝の散歩をして正解だったみたいだね。いただきます」
彼女は嬉しそうにトーストにかぶりつく
その様子に微笑んで自分も朝食に手を付ける・・・・・・
「いただきます」言えない人は次回の投稿まで言えるようにしようか




